AGA治療薬フィナステリドとデュタステリドの違いを比較
本記事では、これから薄毛治療を始めたい方や、すでに服用を検討している方に向けて、それぞれの薬の特徴や違いをわかりやすく解説します。
AGAとDHTの関係
AGAの原因は、男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)の影響によるものです。DHTは毛根の働きを抑制し、髪の成長サイクルを短くしてしまいます。その結果、髪が細く弱くなり、最終的には抜け毛が進行していきます。
フィナステリドとデュタステリドは、このDHTの生成を抑制する「5αリダクターゼ阻害薬」と呼ばれる薬に分類されます。ただし、作用する酵素の種類や効果の強さに違いがあります。
フィナステリドの特徴
フィナステリドは、世界的にAGA治療の第一選択薬として広く使われている薬です。日本では「プロペシア」の名前で知られています。
- 作用機序:5αリダクターゼII型を阻害してDHTを減らす
- 効果:薄毛の進行を止める、現状維持に優れる
- 服用期間:効果を実感するには6か月〜1年程度の継続が必要
- 副作用:性欲減退、勃起機能低下、肝機能障害などが報告されるが頻度は低い
特に20〜40代でAGAの進行が始まった初期段階の方に適しており、長期的に服用することで安定した効果が期待できます。
デュタステリドの特徴
デュタステリドは、フィナステリドよりも後に登場した薬で、日本では「ザガーロ」として知られています。フィナステリドがII型酵素のみを阻害するのに対し、デュタステリドはI型とII型の両方を阻害します。
- 作用機序:5αリダクターゼI型とII型を両方阻害する
- 効果:フィナステリドよりも強力にDHTを抑制できる
- 服用期間:効果を実感するまでの期間はフィナステリドと同程度
- 副作用:性機能障害の頻度はフィナステリドよりやや高いとされる
進行が早い人や、フィナステリドで十分な効果が得られなかった人に選ばれることが多い薬です。
フィナステリドとデュタステリドの比較表
項目 | フィナステリド | デュタステリド |
---|---|---|
作用する酵素 | 5αリダクターゼII型のみ | I型・II型の両方 |
DHT抑制効果 | 中程度 | 強力 |
効果 | 現状維持に優れる | 進行をより強力に抑制 |
副作用の傾向 | 性欲減退、肝機能障害(頻度低) | 性機能障害のリスクやや高め |
副作用と注意点
両者ともに副作用が起こる可能性はありますが、発生率は低いとされています。特に性欲減退や勃起機能の低下は心理的影響も大きいため、不安に感じたら早めに薬の切り替えを検討することが大切です。
また、いずれの薬も妊婦や授乳中の女性には禁忌とされているため、家庭内での取り扱いにも注意が必要です。
どちらを選ぶべきか?
フィナステリドとデュタステリドのどちらが適しているかは、AGAの進行度や体質によって異なります。
- 初期段階で進行を食い止めたい → フィナステリド
- 進行が速く、より強力な効果を求める → デュタステリド
- 副作用リスクをできるだけ抑えたい → フィナステリド
まとめ
AGA治療薬のフィナステリドとデュタステリドは、いずれもDHTの生成を抑制する有効な薬ですが、作用する酵素の範囲や効果の強さ、副作用の傾向に違いがあります。薄毛治療を始める際は、自分の体質や進行度に合った薬を選ぶことが重要です。
某薬局の薬剤師です。