ADHD薬とカフェインの併用リスク|医師が解説
監修:医師・薬剤師監修
はじめに
ADHD治療薬を使用している方の中には、「コーヒーやエナジードリンクを飲んでも大丈夫?」「カフェインと一緒だと副作用が強まる?」と不安に感じる人も少なくありません。
ADHD薬の多くは脳の覚醒作用を調整する薬であり、カフェインにも同様の“覚醒作用”があります。そのため、併用には注意すべきポイントがあります。
本記事では、医師・薬剤師の知見にもとづき、ADHD薬とカフェイン併用のリスク・影響・注意点をわかりやすく解説。実際に併用した人の体験談や副作用レビューも紹介します。
ADHD薬の種類と作用
まず、ADHD薬には大きく2種類あります。
● 中枢神経刺激薬
- コンサータ(メチルフェニデート)
- ビバンセ(リスデキサンフェタミン)
脳の覚醒度を高め、注意力・集中力を改善するタイプ。
● 非刺激薬
- ストラテラ(アトモキセチン)
- インチュニブ(グアンファシン)
脳を興奮させるのではなく、注意・情緒のコントロールを安定させるタイプ。
カフェインの作用
コーヒー、紅茶、エナジードリンク、緑茶などに含まれるカフェインには次のような作用があります。
- 覚醒作用(眠気を抑える)
- 心拍数上昇
- 集中力の一時的向上
- 利尿作用
この“覚醒作用”がADHD薬と重なることで、併用リスクが生じることがあります。
ADHD薬 × カフェイン の併用で起こりやすいリスク
① 動悸・心拍数の上昇
特に刺激薬(コンサータ・ビバンセ)とカフェインの併用では、心臓への負担が増えやすいと言われています。
- 胸がドキドキする
- 息苦しさ
- 不安感が強まる
② 不安・イライラ・緊張の増加
どちらも神経を活性化させるため、交感神経が過剰に働きやすくなります。
結果として、
- 集中できないどころか逆に落ち着かなくなる
- ソワソワ感・手の震え
- 不安感の悪化
③ 睡眠障害の悪化
刺激薬+カフェインは、夜の入眠を妨げる組み合わせです。
夜に眠れず、翌日の集中力が低下する“悪循環”に陥ることも。
④ 脱水や頭痛のリスク
カフェインには利尿作用があり、薬の副作用の頭痛を悪化させる場合があります。
⑤ 薬の効果がぶれる
医師はよく「カフェインで薬の効果の感じ方が不安定になる」と指摘します。
- 効いているのか効きすぎなのかわからない
- 午後になると不安定になる
非刺激薬(ストラテラ・インチュニブ)は併用しても大丈夫?
刺激薬に比べるとリスクは低いですが、それでも次の作用が重なりやすくなります。
- 吐き気
- 頭痛
- 眠気・だるさ
特にストラテラは“吐き気”が出やすいため、カフェインの刺激で悪化するケースがあります。
実際の体験レビュー
● コンサータ+コーヒー(20代男性)
「仕事前にコーヒーを飲んだら落ち着かなくなり、動悸がして会議どころじゃなかった。薬だけのときは安定しているのに…。」
● ストラテラ+エナジードリンク(30代女性)
「眠気を覚まそうとエナドリを飲んだら吐き気が倍増。午後は横にならないといけなかった。」
● インチュニブ+紅茶(40代男性)
「カフェインのせいで効き始めが遅く感じる。飲まない日のほうが仕事が安定する。」
医師が推奨する安全なカフェインの取り方
① 刺激薬を服用する日は“カフェイン控えめ”
- コーヒーは1杯以内
- エナジードリンクは避ける
② 午後以降は飲まない
睡眠への影響を避けるため、カフェインは14時までが目安。
③ 水分補給を増やす
頭痛・脱水を防ぐため、いつもより水分を多く。
④ カフェインレス飲料に切り替える
デカフェコーヒーやノンカフェイン紅茶がおすすめ。
⑤ 不調がある場合は必ず相談
動悸・不眠・吐き気などがある場合は、薬の調整が必要です。
まとめ:併用はできなくはないが“注意が必要”
- ADHD薬とカフェインは作用が似ており、重なると副作用が強まる
- 刺激薬とカフェインは特に注意
- 睡眠障害・動悸・不安感が悪化しやすい
- 飲むなら“量・タイミング”をコントロールすることが重要
カフェインとADHD薬を併用する際は、一気にやめたりせず、まずは量を減らすところから始めるのがおすすめです。
本記事は一般的な医学的知見と体験談にもとづいて作成されています。具体的な服薬調整や生活指導は、必ず医師・薬剤師の指示に従ってください。
某薬局の薬剤師です。

