むくみ治療薬をダイエット目的で使う危険性|医師が解説
監修:医師・薬剤師監修
はじめに
ラシックス(フロセミド)などの利尿剤は、本来むくみ・心不全・腎臓疾患などの治療を目的に処方される薬です。しかし近年、SNSや口コミで「体重がすぐ減る」「むくみが取れて痩せたように見える」と、ダイエット目的で使用するケースが報告されています。
結論から言うと、利尿剤をダイエット目的で使うのは非常に危険です。
本記事では、医師の視点からその理由、実際の副作用体験談、健康への影響を詳しく解説します。
利尿剤は痩せる薬ではない
利尿剤によって減るのは脂肪ではなく水分です。
- 体内の余分な水分が一時的に排出されるだけ
- 数日で元に戻るため「痩せたように見える」のは錯覚
- 脂肪燃焼作用は一切ない
医師は「利尿剤で減った体重は、本質的なダイエットとは無関係」と説明します。
ダイエット目的で使う危険性
① 脱水症状のリスク
利尿剤は短時間で大量の水分を排出するため、
- のどの渇き
- ふらつき
- 極度のだるさ
- 意識障害
などの重い脱水が起こる可能性があります。
② 電解質異常(命に関わる)
特にカリウム低下(低カリウム血症)は非常に危険です。
- 動悸
- 筋肉のけいれん
- 不整脈
- 最悪の場合は心停止
③ 腎臓への負担
水分と電解質が急激に失われるため、腎臓が過剰に働くことになります。
医師は「健康な人でも腎機能を損なう可能性がある」と警告します。
④ リバウンドしやすく、慢性的なむくみを悪化させる
利尿剤を乱用すると、身体が水分保持を強めようとして、
- むくみが悪化
- 体重の急増
- 常に水分不足になる
など逆効果を招きます。
実体験レビュー:ダイエット目的で使用した人の声
● 20代女性
「SNSで利尿剤ダイエットを知り試してみました。たった1日で1.5kg減ったので“痩せた!”と喜んだが、翌日には元に戻り、頭痛とだるさで仕事にならなかったのでそこから服用をやめました。」
● 30代男性
「もともとむくみ気味ではあったがひどいものでなく、ダイエットも兼ねて試してみることにしました。飲むとトイレが止まらず、脱水で倒れそうになりました。数日後にむくみが悪化したのでそこから飲んでいません」
医師によれば、利尿剤をダイエット目的で使った人のほとんどが「体調不良を経験する」といいます。
医師が推奨:むくみと体重は“原因”が異なる
- むくみ → 水分バランスの問題
- 体脂肪 → カロリーと代謝の問題
利尿剤はあくまで「病気のための薬」であり、ダイエット薬ではありません。
むくみ改善の安全な方法
● ① 塩分を控える
塩分過多はむくみの最大要因。
● ② カリウムを摂る
バナナ、アボカド、ほうれん草など。
● ③ 運動で血流を改善
特に脚のむくみは歩行やストレッチで改善しやすい。
● ④ 湯船に入る
血流改善とリラックス効果でむくみが取れやすい。
● ⑤ 睡眠をしっかりとる
睡眠不足は体内の水分調整機能を乱します。
まとめ:むくみ治療薬をダイエット目的で使うのは危険
- 利尿剤で減るのは水であって脂肪ではない
- 脱水・電解質異常・腎障害などの重大なリスク
- むくみが悪化する“負のループ”に陥る
むくみとダイエットは全く別物であり、治療薬の乱用は非常に危険です。
健康的に体重を落としたい場合は、食事管理や運動など、負担の少ない方法を選びましょう。
本記事は医学的見解および使用者の体験談をもとに作成しています。利尿剤の使用は必ず医師・薬剤師へ相談し、自己判断での使用は避けてください。
某薬局の薬剤師です。

