早漏を治したいときにする対策5選|薬剤師が基本から実践まで解説
「入れてすぐに終わってしまう」「コントロールできない」という早漏は、決して珍しい悩みではありません。生まれつきの感受性や不安・緊張、刺激の強い性行動の学習など、背景は人それぞれ。単一の“特効薬”はありませんが、再現性のある手順と根拠のある選択で改善は十分に目指せます。ここでは薬剤師の視点で、今日から実践できる5つの対策を、向き不向き・注意点までまとめました。
対策① 行動療法(スタート&ストップ/スクイーズ法)
射精感の高まりを段階的に学習してコントロールする方法です。具体的には、刺激を与え「来そう」の手前で一旦停止(スタート&ストップ)、あるいは冠状溝の上部を優しく圧迫し高まりを下げる(スクイーズ)。
- やり方:ソロで練習 → パートナーと共有 → 本番へ。
- メリット:副作用なし、根本的なコントロール感覚が身につく。
- 注意点:急いで強くつまむのはNG(痛み・逆効果)。「7割高まり」から落とす練習を繰り返す。
対策② 感度の調整(コンドーム/局所麻酔クリーム)
厚めのコンドームや、リドカイン+プリロカインなどの局所麻酔で亀頭の感受性を穏やかにします。
- メリット:即効性があり、行動療法の補助に◎。
- 注意点:塗布量過多は感覚喪失で満足度低下。使用後は拭き取り、パートナーの感覚鈍麻移行を避ける。かぶれ体質はパッチテストを。
対策③ 骨盤底筋トレーニング(Kegel)+呼吸の整え
射精時に働く骨盤底筋群を鍛え、横隔膜呼吸で交感神経の暴走を抑えます。
- やり方:排尿を途中で止めるイメージで肛門を「3秒締め・3秒ゆるめ×10回」を1日3セット。呼吸は吸う4秒/吐く6秒。
- メリット:持久力・勃起維持にも波及。
- 注意点:力みすぎは逆効果。“軽く・回数”を継続。
対策④ 心理・コミュニケーション(CBT/マインドフルネス)
「失敗したらどうしよう」というパフォーマンス不安や、早く終わらせねばという焦りは、交感神経を高ぶらせ射精を早めます。認知行動療法(CBT)で思考のクセを修正し、マインドフルネスで「今この感覚」に注意を戻す練習を。
- ポイント:事前合意の合図(ペースを落とす・体位を変える)を決めておく。体位は刺激が穏やかなものから。
- メリット:再発予防に有効。関係満足度も上がりやすい。
対策⑤ 治療薬という選択肢(ポゼット等のダポキセチン製剤ほか)
行動療法の土台ができたら、必要に応じて薬物療法を併用する選択肢があります。代表がダポキセチン(例:ポゼット/Poxet)。短時間作用型SSRIで、オンデマンドで射精潜時を延長しやすいのが特長です。
- メリット:効果が出れば体感は明確。緊張が強い場面で一時的に補助として使いやすい。
- 主な副作用:吐き気、めまい、ほてり、頭痛。飲酒併用は悪化リスク。
- 注意点:心疾患・てんかん・双極性障害・MAO阻害薬/他SSRI・トリプタン等との相互作用に注意。自己判断の常用は避け、医師の管理下が原則。
ほかに三環系(クロミプラミン)、ED併存ならPDE5阻害薬でプレッシャー軽減→全体の余裕が増すケースも(単独で早漏へ直接作用する薬ではありません)。
比較表:自分に合うアプローチは?
方法 | 即効性 | 根本改善 | 副作用/負担 | 向く人 |
---|---|---|---|---|
行動療法 | △ | ◎ | ほぼなし | 自分で練習できる人 |
感度調整 | ◯ | △ | かぶれ・感覚低下 | まずは即効性が欲しい人 |
骨盤底筋+呼吸 | △ | ◯ | 時間の投資 | 体から整えたい人 |
心理・コミュニケーション | △ | ◎ | 対話のハードル | 不安・焦りが強い人 |
治療薬(ダポキセチン等) | ◯ | △ | 消化器・めまい等 | 本番の補助が必要な人 |
セルフチェック:まずはここから
- ✔ 刺激が強すぎる体位・ストロークに偏っていませんか?
- ✔ 「来そう」を0〜10で言語化できますか(7→5に落とす練習)?
- ✔ 厚めコンドーム/局所麻酔を試し、拭き取りやパッチテストはしていますか?
- ✔ 週3回・4週間、Kegel+呼吸を続けられますか?
- ✔ 薬を検討する時は、既往歴・併用薬・飲酒を整理して医師に相談できますか?
個人輸入の注意と安全ガード
個人輸入で入手できる早漏治療薬(例:ポゼット等)もありますが、品質・偽造・相互作用のリスクが伴います。初回は医療機関で適応・禁忌を確認し、用量やタイミングは指示に従ってください。薬はあくまで補助。行動療法+コミュニケーション+体づくりの土台が、最も再発しにくい王道です。
まとめ
早漏は「意志が弱いから」ではありません。刺激と緊張のスパイラルを断ち切るために、行動療法・感度調整・体づくり・心理面・薬物療法を状況に応じて組み合わせましょう。今日からできる小さな練習を積み重ねれば、コントロール感覚は確実に育ちます。
某薬局の薬剤師です。