オキシメトロンと他のアナボリックステロイドの違い
筋肉増強や体力アップを目的に話題となるアナボリックステロイド。その中でもオキシメトロン(Oxymetholone)は「最強クラス」として知られています。しかし一口にアナボリックステロイドといっても作用や副作用のバランスは薬ごとに異なり、安易な使用は大きなリスクを伴います。本記事では薬剤師の視点から、オキシメトロンと他の代表的なアナボリックステロイドの違いを深掘りします。
アナボリックステロイドとは?
アナボリックステロイドは男性ホルモン(テストステロン)を基盤に合成された薬剤で、筋肉や骨の成長を促す同化作用と、男性的特徴を強める男性化作用を持ちます。本来は再生不良性貧血やホルモン異常の治療に使われてきましたが、筋肉増強目的での乱用が世界的に問題となっています。
オキシメトロンの特徴
オキシメトロンは1960年代に開発され、血液疾患の治療薬として承認されました。その特徴は以下の通りです。
- 筋肉増加効果が非常に強力:短期間で大幅な筋肥大を期待できる。
- 赤血球増加作用:酸素運搬能力を高め、持久力の改善に寄与。
- 水分保持作用が強い:筋肉が膨らんだように見えるが、むくみや血圧上昇につながる。
一方、副作用も顕著で肝障害リスクはアナボリックステロイドの中でもトップクラス。肝腫瘍や黄疸など重篤な副作用が起こり得る点が大きな問題です。
他の代表的なアナボリックステロイドとの違い
オキシメトロンと比較される代表的なアナボリックステロイドを整理します。
ナンドロロン(デカ・デュラボリン)
- 特徴:筋肉増強作用は強力だが、肝毒性は比較的少ない。
- 違い:オキシメトロンほどの急激な効果はないが、副作用がややマイルド。
メタンジエノン(ダイアナボル)
- 特徴:経口剤で筋肥大効果がある。
- 違い:オキシメトロンよりは効果が弱いが、それでも肝毒性は存在する。
スタノゾロール(ウィンストロール)
- 特徴:水分保持作用が少なく、筋肉をシャープに見せる効果がある。
- 違い:オキシメトロンのような急激な体重増加はなく、競技向きとされるが関節への負担が大きい。
テストステロン製剤
- 特徴:アナボリックステロイドの基盤であり、効果も副作用もバランス型。
- 違い:オキシメトロンほど極端ではなく、医療現場でも比較的安全性が高い。
副作用リスクの比較
薬剤名 | 筋肉増強効果 | 肝毒性 | 水分保持 |
---|---|---|---|
オキシメトロン | 極めて強い | 非常に高い | 強い |
ナンドロロン | 強い | 低め | 中程度 |
メタンジエノン | 強い | 中程度 | やや強い |
スタノゾロール | 中程度 | 中程度 | 低い |
テストステロン | 標準 | 低め | 中程度 |
まとめ:オキシメトロンは「諸刃の剣」
オキシメトロンはアナボリックステロイドの中でも群を抜いて効果が強い一方、副作用リスクも最大級です。肝障害や心血管系リスクは無視できず、医療用途以外での安易な使用は極めて危険です。
他のアナボリックステロイドもそれぞれの特徴がありますが、いずれも健康リスクを伴うことに変わりはありません。筋肉増強目的で使用する前に、必ずメリットとデメリットを冷静に比較し、健康を優先する視点を持つことが大切です。
某薬局の薬剤師です。