むくみと健康の関係｜薬に頼らず改善する生活習慣
むくみの仕組みと種類
むくみは、体内の水分バランスが崩れ、余分な水分が皮下組織にたまることで生じます。血管やリンパ管から水分が過剰に漏れ出したり、排出が滞ったりすることが原因です。むくみには以下のような種類があります。
- 顔のむくみ：朝起きたときに目の周りや頬が腫れぼったくなる。塩分の摂りすぎやアルコール、睡眠不足が原因になることが多い。
- 脚のむくみ：夕方にかけて強くなりやすい。立ち仕事や長時間のデスクワークによる血流の停滞が主な要因。
- 全身のむくみ：慢性的に体全体がむくむ場合、腎臓・心臓・肝臓などの臓器疾患が関与している可能性がある。
むくみの出方を観察することで、単なる生活習慣の影響か、病気のサインかを見極める手がかりになります。
生活習慣とむくみの関係
むくみの多くは生活習慣に起因しています。例えば、塩分を摂りすぎると体はナトリウム濃度を調整するために水分をため込みます。アルコールは血管を拡張させ、一時的に水分が外へ漏れ出しやすくします。運動不足は血流を滞らせ、余分な水分や老廃物が排出されにくくなります。さらに、睡眠不足はホルモンバランスを崩し、自律神経の働きを乱すことでむくみを助長します。
薬に頼らない改善法
薬に頼らずむくみを改善するには、生活習慣の見直しが基本です。以下の方法が有効です。
食生活の改善
塩分を控えめにし、カリウムを多く含む食品（バナナ、アボカド、ホウレンソウなど）を意識して摂取することで、体内の水分バランスが整います。たんぱく質不足もむくみの原因になるため、魚や豆類をバランスよく摂ることも大切です。
運動習慣
軽いウォーキングやストレッチは血流やリンパの流れを促進します。特に「ふくらはぎの筋肉」は第二の心臓と呼ばれ、血液を心臓に戻すポンプの役割を果たすため、意識的に動かすことが重要です。
水分補給
水分を控えると逆に体が水をため込もうとします。適度な水分補給（1日1.5～2L程度）を行うことで代謝がスムーズになり、むくみを予防できます。
セルフマッサージ
脚のむくみには、足首から膝に向かってリンパを流すようなマッサージが効果的です。就寝前や入浴後に取り入れるとリラックス効果も得られます。
睡眠の質を高める
深い睡眠中には成長ホルモンが分泌され、細胞の修復や水分代謝が活発になります。就寝・起床時間を一定にし、寝る前のスマホ使用を控えることで睡眠の質を改善できます。
病気との関連
慢性的に続くむくみは病気のサインであることもあります。
- 腎臓病：腎機能が低下すると余分な水分や塩分を排出できず、全身のむくみが出やすくなります。
- 心不全：心臓のポンプ機能が弱まると血液が滞り、下半身を中心にむくみが生じます。
- 肝硬変：肝機能が低下するとアルブミン（たんぱく質）が減少し、血管内の水分保持力が落ちてむくみや腹水が現れます。
- 甲状腺疾患：ホルモンの異常により全身の代謝が落ち、むくみやだるさが出ることがあります。
こうした病気によるむくみは生活習慣の改善だけでは解決できず、医療機関での検査・治療が必要です。
日常生活でできる工夫
デスクワークが多い人は1時間に1度立ち上がり、軽いストレッチを取り入れると良いでしょう。立ち仕事の人は着圧ソックスを活用することで血流をサポートできます。女性は生理前にホルモンの影響でむくみやすくなるため、この時期は塩分やアルコールを控えめにすることが有効です。
まとめ
むくみは一時的な生活習慣によるものから、病気のサインまで幅広い要因で起こります。薬に頼らず改善するには、食生活、運動、水分補給、セルフケア、睡眠の質の向上など、生活全体を整えることが大切です。もし慢性的にむくみが続く場合は、早めに医療機関で相談することも忘れないでください。
某薬局の薬剤師です。
