早漏の定義って?医学的・心理的な視点から徹底解説
「自分は早漏なのでは?」と悩む男性は多いですが、実際のところ早漏の定義は単純に「早い/遅い」だけで決まるものではありません。国際的な診断基準には数値的な指標もありますが、それに加えて心理的な満足度やコントロール感も大きな要素です。本稿では薬剤師の視点から、早漏の定義を医学的・心理的に深掘りし、改善のヒントまで紹介します。
国際的な診断基準:IELT(挿入から射精までの時間)
早漏の研究ではIELT(Intravaginal Ejaculatory Latency Time:膣内射精潜時)という指標が用いられます。挿入から射精までの時間をストップウォッチで測定したもので、国際性機能学会(ISSM)は以下を基準としています。
- 一次性早漏:性交開始から常に約1分以内で射精してしまう。
- 後天性早漏:以前は問題なかったが、徐々に2〜3分以内になりコントロール不能になる。
ただし、この「時間」だけで診断するのは不十分です。なぜなら性交の満足度は時間だけでは測れないからです。
心理的な定義:満足度とコントロール感
多くの専門家は、早漏を「本人またはパートナーが満足できる前に射精してしまい、コントロールできない状態」と定義しています。つまり、5分続いても本人が「早い」と感じていれば早漏にあたり、逆に1〜2分でもお互い満足していれば問題なしと考えることもできます。
早漏の分類
- 一次性(生涯型):思春期から常に射精が極端に早い。遺伝的要素や神経の感受性が関与。
- 後天性(獲得型):ストレス、加齢、ホルモン変化、勃起機能低下などが原因で徐々に発症。
- 状況性:特定のパートナーやシチュエーションでのみ起こる。
- 主観性:実際には平均範囲内でも「早い」と感じてしまう。
よくある誤解
- 「長く続けば良い」わけではない:挿入時間が長くても満足感が低ければ意味がない。
- 自慰の習慣=早漏の原因ではない:過度に速い刺激に慣れると影響するが、必ずしも因果関係はない。
- 精神的要因だけではない:神経伝達物質(セロトニン)の関与も大きく、生物学的背景がある。
治療や改善の方向性
定義を理解することは改善の第一歩です。代表的な改善方法には以下があります。
- 行動療法:スタート&ストップ法、スクイーズ法など。
- 骨盤底筋トレーニング:射精時の筋肉を鍛え、コントロールを改善。
- 局所麻酔スプレー・コンドーム:感度を鈍らせる補助法。
- 薬物療法:SSRI系薬剤(例:ダポキセチン、ポゼット)が有効。短時間作用型で性交前に使用できる。
まとめ
早漏の定義は「時間」「満足度」「コントロール感」の3つで決まります。医学的にはIELT1分未満を基準としますが、それ以上でも悩みがあれば早漏と考えて良いのです。大切なのは、恥ずかしさで抱え込まず、改善できる方法があると知ること。生活習慣の工夫や薬物療法を組み合わせて、自分とパートナーの満足度を高めていきましょう。
某薬局の薬剤師です。