【脂肪を減らし筋肉を増大】経口剤のみで仕上がる「リコンプ」サイクルを徹底紹介。服用量・サイクル・組み合わせ
はじめに
ボディメイクにおいて「リコンプ(リコンポジション)」は、多くのトレーニーが目指す理想的な体組成変化です。通常、筋肉を増やすには増量期、脂肪を減らすには減量期と分けて考えますが、リコンプはこの両方を同時に実現しようとする高度なアプローチです。
本記事では、経口アナボリックステロイドのみを使用したリコンプサイクルについて、科学的根拠と実践的な情報を基に徹底的に解説していきます。服用量、サイクル期間、薬剤の組み合わせ、そして重要な注意事項まで、包括的にカバーします。
リコンプとは何か
リコンプ(Body Recomposition)とは、体重をほぼ維持しながら、体脂肪を減少させ同時に筋肉量を増加させるプロセスです。これは生理学的に困難なチャレンジであり、以下の条件が揃った場合に最も効果的です:
- トレーニング初心者または長期間のブランクがある人
- 体脂肪率が比較的高い状態(15%以上)
- 適切な栄養管理とトレーニングプログラム
- ホルモン環境の最適化
経験豊富なアスリートにとって、リコンプは増量期や減量期よりも時間がかかる可能性がありますが、年間を通じて良好な見た目を維持できるという利点があります。リコンプは特に以下のような人に適しています:
- コンテスト間の体型維持を目指すボディビルダー
- オフシーズンでも引き締まった状態を保ちたいアスリート
- 体重階級制スポーツの選手
- 美的な体を追求しながらパフォーマンスも向上させたい人
なぜ経口剤なのか
経口アナボリックステロイドを選択する理由はいくつかあります:
利便性: 注射の必要がなく、携帯や保管が容易
投与の柔軟性: 用量調整が簡単で、副作用が出た場合の中止も速やか
検出期間: 多くの経口剤は体内からの排出が比較的早い
心理的障壁の低さ: 注射に対する抵抗感がある人でも使用可能
即効性: 経口剤は比較的早く効果が現れるものが多い
一方で、経口剤特有のデメリットも理解しておく必要があります:
- 肝臓への負担: ほとんどが17α-アルキル化されており、肝毒性がある
- 脂質プロファイルへの影響: HDLコレステロールの低下、LDLコレステロールの上昇
- 半減期が短い: 複数回の分割投与が必要
- コスト: 注射剤に比べて高価になる場合がある
- 消化器系への負担: 胃腸の不快感を引き起こす可能性
リコンプに適した経口剤の特徴
リコンプ目的の経口アナボリックステロイドには以下の特徴が求められます:
- アナボリック(筋肉合成)作用: 筋肉量の維持・増加をサポート
- 脂肪燃焼効果: 直接的または間接的に脂肪代謝を促進
- 水分保持が少ない: クリーンで引き締まった見た目を実現
- 副作用プロファイル: 管理可能な範囲の副作用
- 栄養分配効果: カロリーを筋肉に優先的に配分
- 代謝促進: 基礎代謝率の向上
理想的には、これらの特性をバランス良く持つ薬剤、または複数の薬剤を組み合わせることで相乗効果を狙います。
主要な経口アナボリックステロイドの紹介
アナバー(オキサンドロロン)
アナバーはリコンプサイクルにおいて最も人気のある経口ステロイドの一つです。1964年に医療用として開発され、筋肉減少症や火傷患者の治療に使用されてきました。
特徴:
- 非常にマイルドなアナボリックステロイド
- 脂肪燃焼効果があり、特に内臓脂肪に効果的
- 筋力向上と筋肉の硬さ(ドライな見た目)を促進
- アンドロゲン評価が低い(24)、アナボリック評価は高い(322-630)
- 女性にも使用される(低用量)
- 比較的副作用が少ない
- DHT(ジヒドロテストステロン)誘導体
用量:
- 男性初心者: 40-50mg/日(朝20-25mg、夕方20-25mg)
- 男性中級者: 60-70mg/日(朝30-35mg、夕方30-35mg)
- 男性上級者: 80-100mg/日(朝40-50mg、夕方40-50mg)
- 女性: 5-20mg/日(単回または分割投与)
サイクル期間: 6-8週間(最大10週間)
利点:
- 肝臓への負担が他の経口剤と比較して少ない
- アンドロゲン性副作用が少ない
- 筋肉の質感と硬さの向上
- コラーゲン合成促進(関節保護効果)
- 窒素保持の改善
- 赤血球産生の増加
- グルココルチコイドホルモンの抑制
欠点:
- 非常に高価(最も高価な経口ステロイドの一つ)
- 市場に偽物が極めて多い
- 大幅な筋肉増加は期待できない(クオリティ重視)
- テストステロン抑制(マイルドだが存在する)
リコンプにおける役割:
アナバーは、カロリー制限下でも筋肉量を保持し、同時に脂肪燃焼を促進する能力に優れています。代謝率を上げながら筋力を維持・向上させるため、リコンプの基盤として最適です。
ウィンストロール(スタノゾロール)
ウィンストロールは1962年に開発され、カッティングとリコンプの両方で高く評価されています。オリンピック選手のベン・ジョンソンが使用したことでも知られています。
特徴:
- 強力な脂肪燃焼効果
- 水分保持がほとんどない(極めてドライ)
- 筋力向上と血管浮き出し効果(バスキュラリティ)
- タンパク質合成促進
- SHBG(性ホルモン結合グロブリン)を大幅に低下させる
- アナボリック評価320、アンドロゲン評価30
用量:
- 男性初心者: 30-40mg/日(朝15-20mg、夕方15-20mg)
- 男性中級者: 50mg/日(朝25mg、夕方25mg)
- 男性上級者: 60-80mg/日(朝30-40mg、夕方30-40mg)
- 女性: 5-10mg/日(男性化リスクあり)
サイクル期間: 6-8週間(最大8週間推奨)
利点:
- 劇的な見た目の変化(筋肉の硬化と分離)
- 筋力向上が顕著
- 体重増加なしにパフォーマンス向上
- スピードとパワーの向上
- 比較的入手しやすい価格
欠点:
- 関節への負担が大きい(乾燥効果による滑液の減少)
- 脂質プロファイルへの悪影響が顕著
- 肝臓への負担が大きい
- 腱損傷のリスク増加
- 脱毛のリスク(DHT誘導体)
リコンプにおける役割:
ウィンストロールは、特にサイクルの後半で使用することで、最終的な仕上がりを劇的に改善します。脂肪燃焼を加速させながら、筋肉の密度と硬さを最大化します。
注意: ウィンストロールは関節に負担をかけるため、関節サポートサプリメント(グルコサミン、コンドロイチン、MSM、コラーゲンなど)の併用が強く推奨されます。
トゥリナボル(クロロデヒドロメチルテストステロン)
トゥリナボルは1960年代に東ドイツで開発され、旧東ドイツのスポーツプログラムで広く使用された歴史があります。ダイアナボルの改良版として、より穏やかな効果を目指して作られました。
特徴:
- 穏やかだが確実な筋肉増加
- 水分保持が少ない
- 持久力向上効果
- 副作用が比較的管理しやすい
- アンドロゲン活性が低い
- ダイアナボルとクロステボールの構造的ハイブリッド
用量:
- 男性初心者: 40-50mg/日(朝20-25mg、夕方20-25mg)
- 男性中級者: 60-80mg/日(朝・昼・夜に分割)
- 男性上級者: 80-100mg/日(朝・昼・夜に分割)
- 女性: 5-10mg/日(男性化リスクは低いが存在)
サイクル期間: 6-8週間(最大10週間)
利点:
- 質の高い筋肉増加(保持しやすい)
- 副作用プロファイルが良好
- 持久力とパワーの向上
- エストロゲン変換なし
- 水分保持による体重増加がない
- 血管密度の改善
欠点:
- 効果が穏やか(即効性は低い)
- 検出期間が非常に長い(最大18ヶ月、競技者には不向き)
- 入手困難で偽物も多い
- 肝臓への負担(17α-アルキル化)
- テストステロン抑制
リコンプにおける役割:
トゥリナボルは、クリーンで持続可能な筋肉増加を提供しながら、持久力を向上させます。水分保持がないため、リコンプ中の体重管理が容易で、進捗を正確に追跡できます。
ハロテスチン(フルオキシメステロン)
ハロテスチンは1956年に開発された、極めて強力なアナボリックステロイドです。主に筋力向上と仕上げに使用されます。
特徴:
- 極めて強力なアンドロゲン効果
- 筋力向上が顕著(体重増加なし)
- 攻撃性と集中力の向上
- 脂肪燃焼効果
- アナボリック評価1900、アンドロゲン評価850
- テストステロン誘導体
用量:
- 男性: 10-40mg/日(朝・夕に分割)
- 初心者: 推奨されない
- 上級者専用: 20-30mg/日
- 女性: 使用非推奨(極めて高い男性化リスク)
サイクル期間: 2-4週間(短期間のみ、通常サイクルの最後)
利点:
- 劇的な筋力向上
- 筋肉の硬化と密度向上
- 精神的な攻撃性と集中力
- 即効性がある
- コンテスト前の最終仕上げに最適
欠点:
- 極めて肝毒性が高い
- 脂質プロファイルへの深刻な悪影響
- 攻撃性の過度な増加(精神的副作用)
- 非常に高価
- 長期使用は危険
- 血圧上昇
リコンプにおける役割:
ハロテスチンは、リコンプサイクルの最終段階(最後の2-4週間)で使用されることが多く、最終的な仕上がりと筋力を最大化します。ただし、その強力な副作用から、経験豊富なユーザー専用です。
重要な警告: ハロテスチンは最も肝毒性の高い経口ステロイドの一つであり、使用は極めて慎重に、短期間のみに限定すべきです。
プリモボラン(メテノロン)経口版
プリモボランの経口版(メテノロンアセテート)は、注射版ほど人気はありませんが、リコンプサイクルで有用です。
特徴:
- 非常にマイルドなアナボリックステロイド
- 筋肉の質的向上
- 脂肪燃焼効果
- 副作用が最小限
- DHT誘導体
- アンドロゲン評価44-57、アナボリック評価88
用量:
- 男性: 75-150mg/日(複数回に分割)
- 女性: 25-75mg/日
サイクル期間: 6-8週間
利点:
- 副作用が非常に少ない
- 筋肉の質と硬さの向上
- 免疫システムのサポート
- 女性にも比較的安全
欠点:
- 効果がマイルド(目立った変化は緩やか)
- 経口版は生物学的利用能が低い
- 高用量が必要
- 比較的高価
- 注射版に比べて効率が悪い
リコンプにおける役割:
プリモボラン経口版は、副作用を最小限に抑えながら、筋肉の質を向上させたい場合に適しています。他のより強力な薬剤と組み合わせることで、全体的な効果を高めます。
アナドロール(オキシメトロン)
アナドロールは通常バルクアップに使用されますが、特定のリコンププロトコルでも使用されることがあります。
特徴:
- 極めて強力なアナボリック効果
- 大幅な筋力向上
- タンパク質合成の劇的な増加
- 赤血球産生の増加
- アナボリック評価320、アンドロゲン評価45
用量:
- 男性: 25-50mg/日(リコンプ用の低用量)
- 通常の用量: 50-100mg/日(バルク用)
サイクル期間: 4-6週間(リコンプでは短期間)
利点:
- 筋力の劇的向上
- 筋肉量の増加
- 関節の潤滑(シノビアル液の増加)
- 即効性
欠点:
- 水分保持が多い(リコンプには不向きな面)
- エストロゲン様効果(自体は芳香化しないが)
- 肝臓への負担が大きい
- 食欲増進(カロリー管理が困難)
- 女性化乳房のリスク
リコンプにおける役割:
アナドロールは伝統的にはバルクアップ用ですが、低用量(25-50mg)で使用し、適切な食事管理を行うことで、筋力と筋肉量を増やしながら脂肪を減らすことが可能です。ただし、水分保持のため、リコンプの主軸としては一般的ではありません。
効果的なリコンプサイクルの組み合わせ
初心者向けサイクル(6-8週間)
初心者は副作用のリスクを最小限に抑えながら、体がステロイドにどう反応するかを学ぶべきです。
オプション1: アナバー単独(最もマイルド)
- 週1-8: アナバー 40-50mg/日(朝20-25mg、夕方20-25mg)
利点:
- シンプルで管理しやすい
- 副作用が最小限
- 効果を個別に評価できる
- 女性も使用可能(10-20mg/日)
期待できる結果:
- 筋肉増加: 1-3kg
- 脂肪減少: 2-4kg
- 筋力向上: 10-15%
- クリーンで引き締まった見た目
オプション2: トゥリナボル単独
- 週1-8: トゥリナボル 40-60mg/日(朝・夕に分割、または朝・昼・夕)
利点:
- 穏やかながら確実な進捗
- 持久力向上
- 副作用管理が容易
- 水分保持なし
期待できる結果:
- 筋肉増加: 2-4kg
- 脂肪減少: 2-3kg
- 持久力の顕著な向上
- 質の高い筋肉
サポートサプリメント(両オプション共通):
- TUDCA: 500mg/日
- NAC: 1200mg/日
- オメガ3: 3g/日
- マルチビタミン
- 肝臓サポートハーブ(ミルクシスル)
中級者向けサイクル(8週間)
中級者は、複数の薬剤を組み合わせることで相乗効果を狙えます。
オプション1: クラシックリコンプ
- 週1-8: アナバー 60mg/日(朝30mg、夕方30mg)
- 週5-8: ウィンストロール 40mg/日(朝20mg、夕方20mg)
戦略:
最初の4週間でアナバーを使用して基盤を作り、後半にウィンストロールを追加して仕上げる段階的アプローチ。
利点:
- アナバーの筋肉保護効果
- ウィンストロールの仕上げ効果
- 段階的な強度増加
- 見た目の劇的な改善
注意点:
- 関節サポートサプリメントが必須
- 肝臓保護を強化
- 水分摂取を増やす
期待できる結果:
- 筋肉増加: 3-5kg
- 脂肪減少: 3-5kg
- 筋力向上: 15-25%
- 血管浮き出しと筋肉の硬化
オプション2: バランス重視
- 週1-8: トゥリナボル 60-80mg/日(朝・昼・夕に分割)
- 週1-8: アナバー 40-50mg/日(朝・夕に分割)
戦略:
二つの比較的マイルドな薬剤を組み合わせることで、副作用を抑えながら確実な進捗を得る。
利点:
- 副作用プロファイルが良好
- 持続的な進捗
- 筋肉の質重視
- 持久力とパワーの両立
期待できる結果:
- 筋肉増加: 3-4kg
- 脂肪減少: 3-4kg
- 持久力の大幅向上
- クリーンな筋肉増加
サポートサプリメント(中級者):
- TUDCA: 750-1000mg/日
- NAC: 1800mg/日
- ミルクシスル: 600mg/日
- オメガ3: 4g/日
- シトラスベルガモット: 500-1000mg/日
- CoQ10: 200mg/日
- ホーソンベリー: 500mg/日(血圧管理)
上級者向けサイクル(8-10週間)
上級者は最大の効果を求めますが、副作用管理も最も複雑になります。
オプション1: 最大効果スタック
- 週1-8: アナバー 80-100mg/日(朝40-50mg、夕方40-50mg)
- 週1-8: トゥリナボル 60mg/日(朝・昼・夕に分割)
- 週5-8: ウィンストロール 50mg/日(朝25mg、夕方25mg)
戦略:
ベースとなる二つの薬剤で筋肉増加と脂肪減少を促進し、最後にウィンストロールで仕上げる。
注意:
- 非常に高い肝臓負担
- 厳密なサポートサプリメント必須
- 週1回の血液検査推奨
- 関節保護が重要
期待できる結果:
- 筋肉増加: 4-6kg
- 脂肪減少: 4-6kg
- 筋力向上: 20-30%
- プロレベルの仕上がり
オプション2: パワー重視
- 週1-8: アナバー 80mg/日(朝40mg、夕方40mg)
- 週1-6: アナドロール 25-50mg/日(朝、低用量)
- 週7-10: ハロテスチン 20-30mg/日(朝・夕に分割)
戦略:
アナバーをベースに、前半でアナドロールを低用量使用し筋肉量を増やし、後半でハロテスチンを使って筋力と硬度を最大化。
警告:
- 極めて高い肝毒性
- 脂質プロファイルへの深刻な影響
- 上級者専用
- 医療モニタリング強く推奨
期待できる結果:
- 筋肉増加: 3-5kg
- 脂肪減少: 3-5kg
- 筋力向上: 25-40%
- 極度の筋肉硬化
サポートサプリメント(上級者):
- TUDCA: 1000-1500mg/日
- NAC: 2400mg/日
- ミルクシスル: 900mg/日
- オメガ3: 5g/日
- シトラスベルガモット: 1000-1500mg/日
- CoQ10: 300mg/日
- レッドイーストライス: 1200mg/日
- セロリ種子エキス: 150mg/日
- ホーソンベリー: 1000mg/日
- グルコサミン: 1500mg/日
- コンドロイチン: 1200mg/日
- MSM: 2000mg/日
- コラーゲンペプチド: 10-20g/日
サイクルサポートの詳細
経口ステロイドサイクル中の健康維持は極めて重要です。適切なサポートなしでは、深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。
肝臓保護プロトコル
経口ステロイドのほとんどは17α-アルキル化されており、肝臓で代謝される際に負担をかけます。
TUDCA(タウロウルソデオキシコール酸):
- 最も効果的な肝臓保護サプリメント
- 用量: 500-1500mg/日(サイクルの強度に応じて)
- タイミング: ステロイド服用の3-4時間後
- 胆汁の流れを改善し、肝細胞を保護
NAC(N-アセチルシステイン):
- 強力な抗酸化物質
- グルタチオン生成を促進
- 用量: 1200-2400mg/日(分割投与)
- タイミング: 朝・夕、食事と一緒に
ミルクシスル(シリマリン):
- 伝統的な肝臓保護ハーブ
- 用量: 300-900mg/日
- シリビン含有量80%以上のものを選択
追加の肝臓サポート:
- アーティチョークエキス: 500mg/日
- アルファリポ酸: 300-600mg/日
- ビタミンE: 400IU/日
避けるべきもの:
- アルコール(完全に禁止)
- アセトアミノフェン(パラセタモール)
- 不要な薬物
- 肝毒性のあるサプリメント
脂質プロファイル管理
経口ステロイドは脂質プロファイルに悪影響を及ぼし、心血管リスクを高めます。
オメガ3脂肪酸(EPA/DHA):
- 用量: 3-5g/日
- HDLコレステロールの改善
- トリグリセリドの低下
- 抗炎症作用
- 高品質の魚油またはクリルオイル
シトラスベルガモット:
- 用量: 500-1500mg/日
- LDLコレステロールの低下
- HDLコレステロールの向上
- 天然のスタチン様効果
ナイアシン(ビタミンB3):
- 用量: 500-1000mg/日(徐放性)
- HDLコレステロールを大幅に向上
- 注意: フラッシング(顔面紅潮)の副作用
- 肝臓に負担をかける可能性があるため、慎重に使用
CoQ10(コエンザイムQ10):
- 用量: 200-300mg/日
- 心臓健康のサポート
- 抗酸化作用
- エネルギー産生
食事での脂質管理:
- 飽和脂肪を総カロリーの7-10%未満に
- トランス脂肪を完全に避ける
- 可溶性食物繊維を増やす(オートミール、豆類)
- ステロールとスタノールを含む食品
血圧管理
ステロイド使用は血圧を上昇させる可能性があります。
セロリ種子エキス:
- 用量: 150mg/日
- 自然な血圧降下作用
- 利尿効果
ホーソンベリー:
- 用量: 500-1000mg/日
- 心臓機能のサポート
- 血管拡張作用
マグネシウム:
- 用量: 400-600mg/日
- 血管の弛緩
- 電解質バランス
ライフスタイル要因:
- ナトリウム摂取を2300mg/日以下に制限
- カリウム摂取を増やす(4700mg/日目標)
- 定期的な有酸素運動
- ストレス管理
- 十分な水分摂取(3-4L/日)
関節と腱のサポート
特にウィンストロールやハロテスチンを使用する場合、関節保護が重要です。
グルコサミン硫酸塩:
- 用量: 1500mg/日
- 軟骨の健康維持
コンドロイチン硫酸塩:
- 用量: 1200mg/日
- 関節の潤滑
MSM(メチルスルフォニルメタン):
- 用量: 2000-3000mg/日
- 抗炎症作用
- 結合組織のサポート
コラーゲンペプチド:
- 用量: 10-20g/日
- タイプI、II、IIIコラーゲン
- 関節、腱、靭帯の強化
UC-IIコラーゲン(非変性2型コラーゲン):
- 用量: 40mg/日
- 特に効果的な関節サポート
追加のサポート:
- オメガ3(抗炎症)
- クルクミン: 500-1000mg/日
- ボスウェリア: 300-500mg/日
PCT(ポストサイクルセラピー)の詳細
経口ステロイドサイクル後、自然なホルモンバランスを回復させるためのPCTは必須です。適切なPCTなしでは、テストステロンレベルが低下したまま、筋肉量の喪失、リビドーの低下、気分の落ち込みなどを経験する可能性があります。
PCTの重要性
サイクル中、外部からのアンドロゲンにより、視床下部-下垂体-性腺軸(HPTA)が抑制されます。PCTの目的は:
- LH(黄体形成ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)の産生を再開
- 自然なテストステロン産生を回復
- エストロゲンレベルのバランス維持
- 獲得した筋肉量を最大限保持
- 気分と精神状態の安定
標準的なPCTプロトコル(4-6週間)
軽度のサイクル(アナバー単独など):
週1-2:
- ノルバデックス(タモキシフェン): 20mg/日
- または クロミッド(クロミフェン): 25mg/日
週3-4:
- ノルバデックス: 10mg/日
- または クロミッド: 12.5mg/日(1日おき)
中程度のサイクル:
週1-2:
- ノルバデックス: 40mg/日(朝20mg、夕方20mg)
- または クロミッド: 50mg/日
週3-4:
- ノルバデックス: 20mg/日
- または クロミッド: 25mg/日
週5-6(オプション):
- ノルバデックス: 10mg/日
- または クロミッド: 12.5mg/日(1日おき)
強度の高いサイクル:
週1-2:
- ノルバデックス: 40mg/日 + クロミッド: 50mg/日(併用)
週3-4:
- ノルバデックス: 20mg/日 + クロミッド: 25mg/日
週5-6:
- ノルバデックス: 10mg/日
- または クロミッド: 12.5mg/日(1日おき)
ノルバデックス vs クロミッド
ノルバデックス(タモキシフェン):
- SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)
- LH産生を促進
- 副作用が少ない
- 一般的に第一選択
クロミッド(クロミフェン):
- SERM
- FSHとLH両方を促進
- より強力だが副作用も多い
- 視覚障害、気分変動のリスク
多くのユーザーはノルバデックスを優先しますが、強度の高いサイクル後は両方を併用することもあります。
PCTサポートサプリメント
全期間を通して:
ZMA(亜鉛・マグネシウム・ビタミンB6):
- テストステロン産生のサポート
- 睡眠の質向上
- 就寝30-60分前
ビタミンD3:
- 用量: 5000-10000IU/日
- テストステロン産生に関与
- 免疫システムのサポート
DAA(D-アスパラギン酸):
- 用量: 3g/日(最初の2-3週間)
- LHとテストステロンの産生促進
- 長期使用は逆効果の可能性
アシュワガンダ(KSM-66):
- 用量: 600mg/日(標準化エキス)
- コルチゾール低下
- テストステロンサポート
- ストレス管理
トンカットアリ(Eurycoma longifolia):
- 用量: 200-400mg/日
- 遊離テストステロンの増加
- SHBGの低下
フェヌグリーク:
- 用量: 500-600mg/日
- テストステロンレベルのサポート
- リビドー向上
継続的な肝臓サポート:
- TUDCA: 250-500mg/日(最初の2週間)
- NAC: 600-1200mg/日
- ミルクシスル: 300mg/日
PCT中の栄養とトレーニング
栄養戦略:
- カロリーをメンテナンスレベルに維持
- タンパク質: 体重1kgあたり2.5-3g
- 脂肪摂取を確保(ホルモン産生に必要)
- 複合炭水化物を中心に
- カロリー削減は避ける(異化リスク)
トレーニング調整:
- ボリュームを20-30%削減
- 強度は維持(重量は保つ)
- オーバートレーニングを避ける
- 回復を最優先
- 有酸素運動は控えめに
睡眠とストレス:
- 毎晩8-9時間の睡眠
- 昼寝も有効
- ストレス管理の実践
- 瞑想やヨガ
PCTの効果評価
血液検査:
- PCT前(サイクル終了後、PCT開始前)
- PCT後2-4週間
- 必要に応じてPCT後6-8週間
測定すべき項目:
- 総テストステロン
- 遊離テストステロン
- LH
- FSH
- エストラジオール
- SHBG
- プロラクチン(オプション)
目標値:
- 総テストステロン: 正常範囲内(最低でも300ng/dL以上)
- LH/FSH: 正常範囲内
- エストラジオール: バランスが取れている
PCTが不十分な場合、医師に相談し、追加の治療が必要かもしれません。
栄養戦略の詳細
リコンプの成功は、薬剤以上に栄養管理に依存します。正しい栄養戦略なしでは、ステロイドを使用しても望む結果は得られません。
カロリー設定の科学
メンテナンスカロリーの計算:
- 基礎代謝率(BMR)の計算 – Mifflin-St Jeor式:
- 男性: (10 × 体重kg) + (6.25 × 身長cm) – (5 × 年齢) + 5
- 女性: (10 × 体重kg) + (6.25 × 身長cm) – (5 × 年齢) – 161
- 総消費カロリー(TDEE)の計算:
- BMR × 活動係数
- 座りがち: 1.2
- 軽い活動: 1.375
- 中程度の活動: 1.55
- 活発: 1.725
- 非常に活発: 1.9
リコンプのカロリー戦略:
アプローチ1: 静的アプローチ
- メンテナンスカロリーから-100〜+100kcal
- 最もシンプルだが進捗は遅い
アプローチ2: サイクリングアプローチ(推奨)
- トレーニング日: メンテナンス + 200-300kcal
- 休息日: メンテナンス – 200-300kcal
- 週平均でメンテナンス付近を維持
- 栄養のタイミングを最適化
アプローチ3: 週単位のサイクリング
- 週5日: メンテナンス – 200kcal
- 週2日: メンテナンス + 500kcal
- 代謝の適応を防ぐ
マクロ栄養素の最適化
タンパク質(最優先):
- 用量: 体重1kgあたり2.5-3.5g
- サイクル中はタンパク質合成が促進されるため、高摂取が有効
- 筋肉保持と成長に不可欠
- 満腹感を提供(食欲管理)
タンパク質源:
- 赤身の肉(牛、鹿、バイソン)
- 鶏肉(胸肉、もも肉)
- 魚(サーモン、マグロ、タラ)
- 卵と卵白
- ギリシャヨーグルト
- カッテージチーズ
- プロテインパウダー(ホエイ、カゼイン)
栄養戦略の詳細(続き)
炭水化物(エネルギーとパフォーマンス):
- 用量: 体重1kgあたり3-5g(トレーニング強度に応じて)
- トレーニング日は高め、休息日は低めに調整
- トレーニング前後に集中させる
- インスリン感受性を活用して栄養を筋肉に配分
炭水化物の質:
- 複合炭水化物(優先):
- オートミール
- 玄米・白米
- サツマイモ・じゃがいも
- キヌア
- 全粒粉パスタ
- 豆類
- 単純炭水化物(トレーニング前後のみ):
- バナナ
- ハチミツ
- ライスケーキ
- デキストロース(ワークアウトドリンク)
炭水化物のタイミング:
- 朝食: 中程度
- トレーニング前(1-2時間): 高
- トレーニング後(直後): 高
- 夕食: 低〜中程度
- 就寝前: 低
脂質(ホルモン産生に不可欠):
- 用量: 総カロリーの20-30%
- 最低でも体重1kgあたり0.8-1g
- テストステロン産生に必要
- 脂溶性ビタミンの吸収
脂質の質:
- オメガ3脂肪酸(優先):
- 脂の多い魚(サーモン、サバ、イワシ)
- 魚油サプリメント
- 亜麻仁油
- チアシード
- 一価不飽和脂肪酸:
- オリーブオイル(エクストラバージン)
- アボカド
- ナッツ類(アーモンド、カシューナッツ)
- ナッツバター
- 飽和脂肪酸(適度に):
- 全卵
- 赤身肉
- ココナッツオイル
- グラスフェッドバター
- ホルモン産生に必要だが過剰は避ける
- 避けるべき脂質:
- トランス脂肪酸(完全に排除)
- 過度の加工植物油
- 揚げ物
食事タイミングとプロトコル
1日の食事スケジュール例(トレーニング日):
朝食(7:00):
- 全卵3個 + 卵白3個
- オートミール100g
- ブルーベリー50g
- アーモンド20g
- マルチビタミン、オメガ3
午前の間食(10:00):
- プロテインシェイク40g
- バナナ1本
- ピーナッツバター大さじ1
昼食(13:00):
- 鶏胸肉200g
- 玄米150g
- ブロッコリーとほうれん草
- オリーブオイル大さじ1
トレーニング前(15:30):
- ライスケーキ2枚
- ホエイプロテイン30g
- バナナ1本
- カフェイン200mg(オプション)
トレーニング中(17:00-18:30):
- BCAA 10g
- デキストロース30-50g
- 電解質
- 水分1-1.5L
トレーニング後(直後18:30):
- ホエイプロテイン40g
- デキストロースまたはマルトデキストリン50-75g
- クレアチン5g
夕食(20:00):
- サーモンまたは牛赤身肉250g
- サツマイモ200g
- アスパラガスと野菜サラダ
- アボカド半分
就寝前(22:30):
- カゼインプロテイン40g
- またはカッテージチーズ200g
- クルミ15g
- ZMA、マグネシウム
休息日の調整:
- 炭水化物を30-40%削減
- 脂質を若干増加
- タンパク質は同量維持
- 総カロリーをメンテナンス-200〜300kcal
水分摂取と電解質バランス
水分摂取の重要性:
- 最低3-4L/日(経口ステロイド使用中)
- トレーニング中は追加で1-2L
- 肝臓と腎臓の機能サポート
- 栄養素の輸送
- 体温調節
- 関節の潤滑
水分摂取のタイミング:
- 起床直後: 500ml
- 各食事と一緒: 500ml
- トレーニング前: 500ml
- トレーニング中: 1-1.5L(少量ずつ)
- トレーニング後: 体重減少分の150%
- 就寝前: 250ml
電解質の重要性:
経口ステロイド、特にウィンストロールやハロテスチンは水分バランスに影響します。
主要電解質:
- ナトリウム: 2000-3000mg/日(血圧に注意)
- カリウム: 4000-5000mg/日(筋肉機能)
- マグネシウム: 400-600mg/日(筋肉の回復、睡眠)
- カルシウム: 1000-1200mg/日(骨の健康)
電解質源:
- 海塩(精製塩より優れている)
- バナナ(カリウム)
- ほうれん草(マグネシウム、カリウム)
- アボカド(カリウム)
- ココナッツウォーター
- 電解質サプリメント
サプリメントスタック
必須サプリメント:
プロテインパウダー:
- ホエイプロテイン(トレーニング前後)
- カゼインプロテイン(就寝前)
- 用量: 1日あたり40-80g(食事からのタンパク質を補完)
クレアチンモノハイドレート:
- 用量: 5g/日(メンテナンス)
- タイミング: トレーニング後
- 筋力とパワーの向上
- 細胞の水分保持(筋肉のボリューム)
- 最も研究されたサプリメント
BCAA(分岐鎖アミノ酸):
- 用量: 10-20g(トレーニング中)
- ロイシン:イソロイシン:バリン = 2:1:1
- 筋肉の分解抑制
- 回復促進
EAA(必須アミノ酸):
- BCAA以上に完全
- 用量: 10-15g/日
- タンパク質合成の最大化
マルチビタミン/ミネラル:
- 高品質のもの
- 1日2回(朝・夕)
- 微量栄養素の不足を防ぐ
推奨サプリメント:
シトルリンマレート:
- 用量: 6-8g(トレーニング前)
- 一酸化窒素産生促進
- パンプと血流の向上
ベータアラニン:
- 用量: 3-5g/日
- 筋持久力向上
- 乳酸バッファリング
カフェイン:
- 用量: 200-400mg(トレーニング前)
- エネルギーと集中力
- 脂肪燃焼促進
- 午後遅くは避ける(睡眠への影響)
L-カルニチン:
- 用量: 2-3g/日
- 脂肪燃焼促進
- 回復サポート
グリセロール:
- 用量: 5-10g(トレーニング前)
- 細胞の水分保持
- パンプの向上
- 持久力向上
消化酵素:
- 各食事と一緒
- 高タンパク食の消化サポート
- 栄養吸収の最適化
トレーニングプロトコルの詳細
リコンプサイクル中のトレーニングは、筋肉増加と脂肪燃焼の両方を同時に促進する必要があります。
トレーニングの基本原則
1. プログレッシブオーバーロード:
- 継続的な負荷の増加
- 重量、レップ数、セット数、ボリュームの増加
- 週ごとに小さな進歩を目指す
- ステロイドは回復を促進するため、より頻繁な進歩が可能
2. ボリュームとインテンシティのバランス:
- ボリューム: セット数 × レップ数 × 重量
- リコンプでは中〜高ボリューム
- 各筋群に週あたり12-20セット
- インテンシティ: 1RMの75-85%
3. 頻度:
- 各筋群を週2回トレーニング
- ステロイドは回復を促進するため可能
- 適切な休息日を確保
4. 運動選択:
- 複合種目を優先(70-80%):
- スクワット、デッドリフト、ベンチプレス
- プルアップ、ロウ、プレス
- 最大の筋肉活性化と成長ホルモン反応
- アイソレーション種目(20-30%):
- 特定の筋肉の発達
- 弱点の改善
ウェイトトレーニングプログラム
プッシュ/プル/レッグス 分割(週2回、計6日):
Day 1 – プッシュ(胸・肩・三頭筋):
- バーベルベンチプレス
- 4セット × 6-8レップ
- 重量重視
- 3-4分休息
- インクラインダンベルプレス
- 4セット × 8-10レップ
- 大胸筋上部
- 2-3分休息
- オーバーヘッドプレス(バーベルまたはダンベル)
- 4セット × 8-10レップ
- 三角筋全体
- 2-3分休息
- ディップス(加重)
- 3セット × 8-12レップ
- 胸と三頭筋
- 2分休息
- ラテラルレイズ
- 4セット × 12-15レップ
- 三角筋側部
- 60-90秒休息
- トライセプスプッシュダウン
- 3セット × 12-15レップ
- 三頭筋のアイソレーション
- 60秒休息
- オーバーヘッドトライセプスエクステンション
- 3セット × 10-12レップ
- 三頭筋長頭
- 60秒休息
Day 2 – プル(背中・二頭筋):
- デッドリフト(コンベンショナルまたはスモウ)
- 4セット × 5-6レップ
- 全身の複合種目
- 3-5分休息
- プルアップ/チンアップ(加重)
- 4セット × 最大レップまたは6-10レップ
- 広背筋と二頭筋
- 2-3分休息
- バーベルロウ(ベントオーバー)
- 4セット × 8-10レップ
- 背中の厚み
- 2-3分休息
- ワンアームダンベルロウ
- 3セット × 10-12レップ(各側)
- 広背筋のストレッチ
- 2分休息
- フェイスプル
- 4セット × 15-20レップ
- 後部三角筋と僧帽筋
- 60秒休息
- バーベルカール
- 3セット × 10-12レップ
- 二頭筋の量
- 90秒休息
- ハンマーカール
- 3セット × 12-15レップ
- 上腕筋と二頭筋
- 60秒休息
Day 3 – レッグス(脚・腹筋):
- バーベルスクワット(バックまたはフロント)
- 4セット × 6-8レップ
- 脚全体の発達
- 3-4分休息
- ルーマニアンデッドリフト
- 4セット × 8-10レップ
- ハムストリングスと殿筋
- 2-3分休息
- レッグプレス
- 4セット × 12-15レップ
- 高ボリューム
- 2分休息
- ウォーキングランジ
- 3セット × 12レップ(各脚)
- 機能的な脚の力
- 2分休息
- レッグカール(ライイングまたはシーテッド)
- 3セット × 12-15レップ
- ハムストリングスのアイソレーション
- 90秒休息
- カーフレイズ(スタンディング)
- 4セット × 15-20レップ
- 腓腹筋
- 60秒休息
- カーフレイズ(シーテッド)
- 3セット × 20-25レップ
- ヒラメ筋
- 60秒休息
- アブローラー/ハンギングレッグレイズ
- 3セット × 最大レップ
- コア全体
- 60秒休息
Day 4 – 休息またはアクティブリカバリー
Day 5 – プッシュ(異なる種目で刺激を変える)
Day 6 – プル(異なる種目で刺激を変える)
Day 7 – レッグス(異なる種目で刺激を変える)
有酸素運動の統合
リコンプでは有酸素運動が脂肪燃焼を促進しますが、過度に行うと筋肉量に悪影響を及ぼす可能性があります。
LISS(低強度定常状態有酸素運動):
- 頻度: 週3-5回
- 時間: 20-40分
- 強度: 最大心拍数の60-70%
- タイミング: ウェイトトレーニング後、または別の時間(朝の空腹時は効果的だが必須ではない)
- 種目: ウォーキング(傾斜つき)、サイクリング、水泳
HIIT(高強度インターバルトレーニング):
- 頻度: 週1-2回
- 時間: 15-20分(ウォームアップ・クールダウン含む)
- プロトコル例:
- ウォームアップ: 3-5分
- 30秒全力スプリント
- 90秒アクティブリカバリー
- 8-10ラウンド繰り返し
- クールダウン: 3-5分
- 種目: スプリント、バイク、ローイングマシン、バトルロープ
タイミングの重要性:
- ウェイトトレーニングと有酸素運動は最低6時間空けるのが理想
- ウェイトトレーニング直後の有酸素運動は短め(20分以内)に
- 有酸素運動後のウェイトトレーニングは避ける(パフォーマンス低下)
トレーニングボリュームの調整
サイクル初期(週1-2):
- ボリュームを10-15%増加
- 体がステロイドに適応
- 回復能力が向上
サイクル中期(週3-6):
- ボリュームを最大化
- 週ごとに重量またはレップ数を増加
- 最大の成長期
サイクル後期(週7-8):
- ボリュームを若干削減(疲労管理)
- 強度は維持
- 関節と中枢神経系の回復
PCT中:
- ボリュームを20-30%削減
- 強度は可能な限り維持
- オーバートレーニングを避ける
- 筋肉量の保持が目標
副作用の管理と対策(詳細)
経口アナボリックステロイドの使用には様々な副作用が伴います。適切な知識と準備で多くは管理可能です。
肝臓への影響(最も重要)
メカニズム:
17α-アルキル化された経口ステロイドは、肝臓での初回通過代謝を生き延びるため、肝細胞に直接的なストレスをかけます。
症状と兆候:
- 疲労感と倦怠感
- 食欲不振
- 吐き気
- 右上腹部の不快感
- 尿の色が濃くなる
- 重度の場合: 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
モニタリング:
- 血液検査項目:
- ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)
- AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)
- GGT(ガンマグルタミルトランスフェラーゼ)
- ビリルビン
- アルカリホスファターゼ
- 警告レベル:
- ALT/ASTが正常上限の2倍以上: 用量削減を検討
- ALT/ASTが正常上限の3倍以上: サイクル中止を強く推奨
対策:
- TUDCAとNACの確実な摂取
- アルコール完全禁止
- 不要な薬物の排除
- 十分な水分摂取
- 肝毒性のある複数の経口剤の同時使用を避ける
- サイクル期間を守る(延長しない)
脂質プロファイルの悪化
メカニズム:
経口ステロイドは肝臓でのリポプロテインリパーゼとヘパティックリパーゼの活性を変化させ、HDL(善玉)コレステロールを低下させ、LDL(悪玉)コレステロールを上昇させます。
典型的な変化:
- HDLコレステロール: 30-70%低下
- LDLコレステロール: 20-50%上昇
- トリグリセリド: 変動
リスク:
- 動脈硬化の加速
- 心血管疾患リスクの増加
- 長期的な心臓健康への影響
モニタリング:
- サイクル前、中間、後に脂質パネル検査
- 総コレステロール
- HDL、LDL、VLDL
- トリグリセリド
- コレステロール/HDL比率
対策:
- オメガ3脂肪酸を高用量(4-5g/日)
- シトラスベルガモット
- 有酸素運動の実施
- 飽和脂肪の制限
- トランス脂肪の完全排除
- 食物繊維の増加(特に可溶性)
- ナイアシン(慎重に、肝臓への負担も考慮)
テストステロン抑制
メカニズム:
外部からのアンドロゲンにより、視床下部-下垂体-性腺軸(HPTA)が負のフィードバックで抑制され、自然なテストステロン産生が低下または停止します。
症状:
- リビドー(性欲)の低下
- 勃起不全
- 疲労感と倦怠感
- 気分の落ち込みや抑うつ
- 筋力低下
- 体脂肪の増加
- 睡眠障害
抑制の程度:
- アナバー: 軽度〜中等度
- ウィンストロール: 中等度
- トゥリナボル: 中等度
- ハロテスチン: 重度
- アナドロール: 重度
対策:
- 適切なPCTの実施(必須)
- サイクル中のテストステロンベース(経口のみのサイクルでは通常不使用だが、長期または強度が高い場合は検討)
- HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の使用(サイクル中または直後、高度なプロトコル)
- 十分な回復期間(サイクル期間と同等以上)
血圧上昇
メカニズム:
- 水分とナトリウムの保持
- 赤血球数の増加(血液粘度上昇)
- レニン-アンジオテンシン系への影響
- 血管の収縮
リスク:
- 心血管系への負担
- 脳卒中リスク
- 腎臓への負担
- 左心室肥大
モニタリング:
- 毎日または隔日の血圧測定
- 理想値: 120/80 mmHg以下
- 警戒値: 140/90 mmHg以上
- 危険値: 160/100 mmHg以上(医療介入必要)
対策:
- ナトリウム摂取の制限(2000-2500mg/日)
- カリウム摂取の増加(4000-5000mg/日)
- セロリ種子エキス
- ホーソンベリー
- マグネシウム
- 有酸素運動
- ストレス管理
- 十分な水分摂取
- 必要に応じて降圧剤(医師の処方)
ニキビと皮膚の問題
メカニズム:
アンドロゲンは皮脂腺を刺激し、皮脂産生を増加させます。毛穴の詰まりと細菌の増殖がニキビを引き起こします。
発生しやすい薬剤:
- アナドロール
- ウィンストロール(DHT誘導体)
- ハロテスチン
対策:
- 1日2回の洗顔(朝・夜)
- ノンコメドジェニック(毛穴を詰まらせない)製品
- ベンゾイルペロキシド(2.5-10%)
- サリチル酸
- 定期的なシーツとタオルの交換
- シャワー後すぐに服を着替える
- 過度な皮脂除去は避ける(逆効果)
- 重度の場合: 皮膚科受診、アキュテイン(イソトレチノイン)の検討
脱毛(男性型脱毛症)
メカニズム:
DHT(ジヒドロテストステロン)誘導体のステロイドは、遺伝的素因がある人の毛包を縮小させます。
リスクが高い薬剤:
- ウィンストロール(DHT誘導体)
- アナバー(DHT誘導体)
- ハロテスチン(テストステロン誘導体だがDHT活性が高い)
対策:
- フィナステリド(1-5mg/日): 5α-還元酵素阻害剤
- 注意: 一部のステロイドには効果なし(すでにDHT誘導体のため)
- ミノキシジル(外用5%、1日2回)
- ケトコナゾールシャンプー(2%、週2-3回)
- ビオチンとコラーゲンのサプリメント
- 頭皮マッサージ
- ニゾラルシャンプー
- 遺伝的素因が強い場合: DHT誘導体の使用を避ける
女性化乳房(ギネコマスティア)
メカニズム:
エストロゲンとアンドロゲンのバランス崩れにより、乳腺組織が発達します。
リスク要因:
- アナドロール(エストロゲン様効果)
- 高体脂肪率(アロマターゼ活性が高い)
- 遺伝的素因
予防:
- 体脂肪率を適度に保つ(15%以下)
- ノルバデックス(10-20mg/日、予防的)
- 亜鉛(抗アロマターゼ効果)
治療:
- 初期段階: ノルバデックス 40mg/日を数週間
- 進行した場合: レトロゾール(AI)またはラロキシフェン
- 確立した乳腺組織: 外科的除去が唯一の選択肢
睡眠障害
原因:
- 中枢神経系の刺激
- 夜間の発汗
- ホルモンバランスの変化
- 不安や興奮
対策:
- カフェインは午後2時以降避ける
- 就寝2-3時間前の激しい運動を避ける
- 寝室を涼しく暗く保つ
- マグネシウムサプリメント(400-600mg、就寝前)
- メラトニン(3-10mg、就寝30分前)
- L-テアニン(200-400mg)
- アシュワガンダ
- 規則正しい睡眠スケジュール
- 睡眠衛生の徹底
気分変動と攻撃性
原因:
- アンドロゲンレベルの急激な変化
- エストロゲン/アンドロゲンバランスの崩れ
- 特にハロテスチンで顕著
対策:
- 瞑想とマインドフルネス
- 定期的な有酸素運動
- ストレス管理テクニック
- 十分な睡眠
- オメガ3脂肪酸
- アシュワガンダ
- セントジョーンズワート(他の薬物との相互作用に注意)
- 必要に応じて専門家のカウンセリング
結論
経口アナボリックステロイドのみを使用したリコンプサイクルは、適切に計画・実行されれば、脂肪減少と筋肉増加の同時達成という困難な目標を実現できます。しかし、これは単純な道ではなく、以下の要素が全て揃って初めて成功します:
成功の5つの柱:
- 適切な薬剤選択と用量: 自分の経験レベル、目標、リスク許容度に合った選択
- 完璧な栄養管理: カロリー、マクロ栄養素、タイミングの精密なコントロール
- 科学的なトレーニング: プログレッシブオーバーロードと適切な回復
- 包括的な健康サポート: 肝臓保護、脂質管理、PCT
- 継続的なモニタリング: 血液検査、体組成、パフォーマンス追跡
最も重要な原則:
安全性が最優先: どんな美的目標やパフォーマンス目標も、健康を犠牲にする価値はありません。副作用が管理できなくなった場合、またはより重要なことに健康マーカーが危険な範囲に入った場合は、躊躇なくサイクルを中止してください。
現実的な期待値:
- 8週間の適切なリコンプサイクルで、3-5kgの筋肉増加と3-5kgの脂肪減少が現実的
- 劇的な変化は一晩では起こらない
- 忍耐と一貫性が鍵
法的・倫理的責任:
- 自国の法律を必ず確認
- スポーツ競技での使用はドーピング違反
- 他者への推奨は避ける
- 未成年者は絶対に使用すべきでない
自然なトレーニングの優先:
多くの人にとって、適切な栄養管理、トレーニングプログラム、休息だけで素晴らしい結果は達成可能です。ステロイドは「近道」ではなく、すでに基礎が確立された上での「増幅器」に過ぎません。基礎がなければ、ステロイドも最大限の効果を発揮しません。
医療専門家との協力:
ステロイド使用を検討する場合、スポーツ医学やホルモン療法に精通した医師と協力することを強く推奨します。定期的な血液検査、健康モニタリング、必要に応じた医療介入は、長期的な健康を守るために不可欠です。
継続的な教育:
科学は常に進化しています。最新の研究、新しい安全プロトコル、より効果的な方法について学び続けることが重要です。
最終的な考察:
リコンプサイクルは、ボディメイクの中でも最も挑戦的なアプローチの一つです。経口アナボリックステロイドを使用することで、このプロセスは加速され、より顕著な結果が得られる可能性があります。
某薬局の薬剤師です。

