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水虫

水虫はいまや現代病

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水虫はいまや現代病

なぜ、水虫患者は年々増え続けているのか

現在、水虫罹患者は全国に1200万人もいると考えられています。
全人口がおよそ1億2000万人ですから、まさに10人に一人が水虫にかかっていることになります。中高年になると、その割合は倍以上に膨れ上がり、四人に一人、六五歳以上の高齢者にいたっては二人に∵人が水虫に悩まされているのです。
さらに、通院歴や薬の購入歴から推定すると、水虫罹患者は年々増え続けていることがわかります。「別に死ぬわけじやないから放っておけばいいさ」「恥ずかしくて病院で足を見られたくない」と、足のじくじく・痒みに悩まされながら何の処置もしていない人の数まで入れると、「水虫人目」は爆発的な総数になることが容易に想像できます。これほど高い罹患率を示す水虫は、いまや「現代病」であるといっても過言ではないでしょう。
ではなぜ、「水虫人口」が急速な勢いで膨れ上がってきているのでしょうか。
その大きな要因の1つが、前述の通り、「たかが水虫」といって治療を怠る人、忙しくて通院する時間がない人、「水虫は治らない病気」という風説を信じ込み、ハナから治療を放棄してしまう人などが多いことによります。
しかし、水虫は自分だけの問題ではありません。人から人へ感染する恐れのある病気なのです。
詳しいことは後述しますが、水虫の原因菌は真菌、つまりカビの一種である白癬菌です。
この白癬菌が人の皮膚の角質層(アカ)や毛・爪などに感染することによって発症するのです。
白癬菌は空気感染をもたらすほどの強い感染力は持ちませんが、その人が素足で歩いた場所には菌が付管します。現代は1200万人「水虫」時代また、痒いからとかきむしって落ちたアカが、他の人の足の裏につくこともあります。家族の中に一人でも水虫の人がいると、家中に白癬菌が無数に潜んでいると考えて間違いない
のです。
水虫は適切な治療さえ行えば、九〇%以上は治ります。ただ、一朝一タに治るということはなく、軽症の人であっても少なくとも半年から一年間は根気よく治療にあたる必要があります。
ともかく、「水虫は、もはや自分だけの問題ではない」と、自覚することが重要です。

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生活環境の向上も水虫を増加させた

私があえて水虫を「現代病」だと位置づけているのは、罹患者数の増加だけが理由ではありません。現在の私たちの生活と水虫の増加とが、密接にかかわりあっているからなのです。
現代人が水虫に感染しやすくなっている原因は、生活環境の向上にあります。白柳菌は、他のカビと同様に高温多湿な場所が大好きです。そして、現代人の生活と切っ
ても切り離せない靴の中は、まさに白癬菌にとって恰好の生息地なのです。
人間の足は、一日になんとコップー杯分もの汗をかくといわれています。靴の中は足からの発汗がこもってしまうため、一日中靴を履き続けていれば、温度も湿度も時間が経つにつれてぐんぐん上昇していくことは容易に想像できるでしょう。
現代の日本では、幼児からハ○歳、九〇歳のお年寄りまで、靴を履かない人は極めてまれです。そのため、ひとたび白癬菌に寄生されれば、誰でも菌を増殖させてしまいやすい環境を持っているのです。
なかでも、家を出てから帰宅するまで靴を脱ぐ機会が少ない会社員や、密閉性の高い
「安全靴」を着用している工事現場の作業員、鉄道員、自衛官、汗をかく頻度の高いスポーツマンなどは、症状を悪化させやすいといえます。
人間の足を守るべく誕生した靴が、人々を悩ませる水虫の「楽園」となっているとはなんとも皮肉な話ですが、今となっては私たちは靴を手放すことができません。つまり、水虫はいつ誰がかかっても不思議のない病気であり、現代人と最も縁の深い病気なのです。

水虫の歴史は靴の歴史とともにある

水虫患者が増加し始めた時代をたどっていけば、私たち人間が靴という生活の道具を手にいれた時期と一致する、といっても過言ではないでしょう。
実際、人間が素足で山野を駆け回っていた昔は、水虫罹患者は存在しませんでした。現代でも靴を履く習慣がないアフリカの原住民には、水虫罹患者がいないと報告されています。
日本でも、草履で生活していた時代には、水虫はほとんど認識されていませんでした。文献に初めて「水虫」の名が登場したのは江戸時代です。「靴文化」が欧米から輸入された明治維新後も靴を履く習慣は一部の人たちに限られていたため、あまり問題視されていませんでした。
水虫が、身分に関係なく一般庶民に至るまで「脚光」を浴びるようになったのは、軍国主義時代のころです。長時間軍靴を履き続け、しかも共同生活が長い軍隊では水虫の蔓延を防ぎようもなかったのでしょう。適切な治療をしないままに、戦後の五五年間をまさに水虫とともに歩んできたという人も少なくありません。
一方、医学的に水虫の歴史をたどってみると、世界で初めて研究が行われるようになったのは19世紀前半のことです。
一八三九年、シェーン・ラインが、頭皮にできた皮膚病の中からカビを発見したことに端を発します。その後、一八九二年からフランスの大学者サブローがこの研究に取りくむようになり、水虫の原因解明が大きく前進しました。手足から検出されたカビを培養したことで、あせもや湿疹と、白癬菌が原因になっている皮膚病とが区別できるようになうたのも、サブローの研究の成果です。
日本で水虫の研究が始められたのは1919年、大正時代のころでした。太田正雄先生(東大皮膚科教授であり文学者木下杢太郎)が菌を培養し、水虫という皮膚病がようやく認識されるようになりました。
その後、土肥慶蔵先生が著書「皮膚科学」の中で、「輪廓状湿疹性白癬(インキンタムシ)と汗庖状白癬(水虫)の原因は白癬菌による」と記し、医師たちの間で「白癬菌」という言葉が使われるようになりました。
また、外国の医学書では、水虫菌の正式名称を皮膚糸状菌とし、この中(トリコフィトン)、小胞菌(ミクロスポルム)、表皮菌(エピデルモフィトン)が含まれ苓としています。
一方、日本では、白癬菌は皮膚糸状菌とほぼ同じ意味で用いられています.
現在では、「はじめに」でもお話ししたとおり、日進月歩の勢いで発展を遂げている医学界の中、水虫の研究もまた盛んになってきています。といっても、いまだ解明されない点が多いのも事実です。
たとえば、足の水虫が悪化すると手にも同じ症状が現れることがあるが、実はそこには菌が存在しないケースが少なくない、これはなぜか。冬期は症状がなくなるが、菌はどこにいるのか、などなど。水虫は依然として多くの謎を秘めた病気の1つなのです。

意外と知られていない水虫のコワイ話

「別に死ぬわけじやないから」
毎年、夏になると足のじくじく・痒みに苦しみながら、タカをくくってなんの対策も取らない人が大勢います。
「恥ずかしくて足を見られたくない、見せたくない」という女性もいるでしょう。軽症のうちは不快感が少ないことから治療を怠る人もいます。
しかし、適切な治療もしないまま放置したり、自分勝手な素人療法を行っていると、症状は次第に慢性化してしまいます。さらに脅かすわけではありませんが、生命を落とす危険性まではらんでいるのです。
白癬菌が体内に入ったら、心臓や胃まで水虫になってしまうのでしょうか」
ときどき、そんな心配をされる患者さんがいらっしやいます、
実は、脳や主要臓器が白絢菌におかされ、死を招いてしまったケースが戦後3例ほど報告されているのです。
極めてまれですが、白癬菌に対する抵抗力が非常に弱い体質の人がいます。こういう人が水虫にかかると、足はおろか大腿のリンパ腺がはれあがり、心臓や脳にまで菌が入り込んでいきます.全身に結節ができ、口が欠け、耳がとれることもあります。そして最後には、体の至る所に穴が開き、そこから膿が流れ出す、という恐ろしいな状になってしまうのです。白癬菌への抵抗力が特別に弱い人にとって、水虫ほど恐ろしい病気はないといえるでしょう。
ただ、詳しいことは後述しますが、通常、白癬菌は皮膚の表面にある角質層を好んで繁殖するため、水虫が口の中や目の粘膜、内臓などに発症することはめったにありません。
といっても、水虫が原因で足の裏がはれあがってしまい、歩けなくなった人は大勢います。また、高血圧や糖尿病などの慢性疾患を抱える人は、白癬菌に対する免疫力も低下しています。水虫を併発すれば、慢性疾患を持っていない人よりも重症化しやすいのも事実です。重症の糖尿病の患者さんで、足の切断を余儀なくされた人もたくさんいます。
水虫で破れた皮膚をむしりとり、痒みに耐えきれずにかきむしる。この瞬間、症状を忘れ、あるいは表現しがたい心地よさを覚えるでしょう。しかし、その行為が水虫の進行を自ら早めてしまっていることを覚えておいてください。

皮膚と白癬菌の関係

表皮のターンオーバー(新陳代謝)を上回る水虫の増殖力
「敵に勝つためには、まず相手を知ることから」というのは万事に通じる鉄肘ですが、適切な治療と日常生活での予防とが欠かせない水虫も、まず発症の仕組みを知ることが肝心です。そこで次に、皮膚と水虫との関係について考えてみることにしましJう。
ご存じの通り、人間の体は皮膚でくまなく覆われています。
そして、これはあまり知られていないことですが、皮膚は面積が約一・六平方メートル、重さにすると四キログラムもある、体内で最も重い臓器なのです。構造も実に複雑で、表面だけをみても1面にうぶ毛がはえていますし、皮満という細かい溝が幾方向にも走っていることがわかります。
さらに、皮膚の断面図からその働きをみると、皮膚は、いちばん表面から「表皮」、「真皮」「皮下組織」という三重構造で成り立っています。その中に毛、毛包、脂腺、立毛筋、汗腺爪などがあります。これらが互いに働きかけあい、細菌やケガ、あるいは紫外線などの外敵から内臓を守ってくれているのです。
また、表皮の中で最も深部にある基底層では、絶えず細胞分裂を繰り返しています。古い細胞は徐々に表面へと押し上げられていき、最後にアカとなってはがれ落ちます。
これが表皮のターンオーバー(新陳代謝)の仕組みであり、一つの細胞がアカとなって体外に押し出されるまで、基底層から顆粒層までが二週間、その後、角質層がはげ落ちるのに二週間、全体でおよそ約一ヵ月かかります。
つまり、人間の皮膚は一定のサイクルのもとに、たえず新しく生まれ変って(ターンオーバー)いるわけです。
この働きのおかげで、少々の傷なら1〜2週間で傷口がふさがります。水虫を治すうえでも、この皮膚の再生力が極めて重要な役割をはたしてくれます。薬などで白癬菌の増殖を抑制するとともに、感染した菌を角質ごと取り除くことで、根治できるからです。
ただ、白癬菌にはこのサイクルと同等の速さ、あるいは上回る速度で増殖する力があります。しかも足の裏は皮膚が厚くなっていることもあり、他の部分ならおよそ】カ月で皮膚が入れ替わるものの、ワンサイクルで三ヵ月はかかってしまいます。そのため軽症の人であっても、病巣のある皮膚と新しい皮膚とを根こそぎ交換するためには、最低でも半年から一年は治療を続ける必要があるのです。
●皮膚の役割
皮膚は、体の中の内臓を包む
ふろしきのような働きをしています。
(1)外力・化学物質・パイ菌・紫外線から体を保護する
(2)体温を調整する
(3)触覚・温度・痛みなどを知覚する
(4)汗・皮脂などを分泌・排泄する
(5)ビタミンDを合成する
(6)免疫・アレルギー反応を調整する

体を守る「ケラチン」が、水虫の栄養素となる

皮膚には、吸収、排泄、知覚など、人間の体を健康に保つための重要な働きがあり、なかでも最も大切なのが保護作用です。この保護作用を支える重要な役割をばたしているのが、表皮のいちばん外側にある角質層です。
角質層はケラチンと呼ばれる堅いたんぱく質から形成されており、皮膚がアカとなってはがれ落ちる前の核のない、いわば死んだ細胞群です。このケラチン線維が熱や寒さ、異物の侵入から私たちの内臓を守ってくれているのです。たとえるなら、それは亀の甲羅のようなものといえるでしょう。
ところが、白癬菌はこのケラチンを栄養にして繁殖する特質があり、別名ケラチン好性真菌とも呼ばれています。
白癬菌以外にも、人間に害を及ぼす細菌類は数多くあります。そのほとんどが、厚くてゴワゴワしたケラチンを好みません。堅すぎて食べても消化しきれないからでしょう。多くの菌が皮膚に悪さをするときには、ケラチンの破れ目、つまり目に見えない小さな傷口から侵入してくるのがふつうです。それなのに、白癬菌はケラチンを食べて体力を強化し、皮膚を次々におかしていくのです。
このため、白癬菌は、ケラチンが豊富にある皮膚の最外層に好んで棲みつきます。そして、クサビ状に広く伸びていき、また万万では鋭く尖って食い込み、ケラチンという好物を貪り食べるのです。

毛と爪は皮膚の一部です

白癬菌は、ケラチンがあり高温多湿の環境が整っている場所ならば、どこにでも寄生します。日常生活の中で、私たちがその機能性について無関心になりがちな毛や爪にも棲みつきます。というのも、毛も爪もその成分が角質層にほぼ一致したケラチンから形成されているからです。
毛は皮膚の一部が毛包に変形し、その中の毛母という構造物からつくられます。
主な機能としては、体を保護する重要な働きがあります。また、うぶ毛(生毛)の周囲には、たくさんの神経が通っており、皮膚の微妙な感覚を助ける作用もしているのです。ところが、白癬菌におかされてしまうと、毛が抜け落ちてしまうため、これらの重要な役割が失われてしまいます。
もっとも、若い女性の中には、体にはえたうぶ毛をきれいに剃ってしまっている人も多いでしょう。これをみると、私は残念な気持ちがします。彼女たちは皮膚の微妙な触れ合いの
感覚を健康な毛を持ちながらにして、自ら放棄しているのです。毛の働きは動物も同じで、たとえば猫の毛をなでてあげると、気持ちよさそうにウ″トリするのは、皮膚の感覚が優しく刺激されているためです。
人間の頭髪は1カ月に1センチ伸びます。そのため、白癬菌が髪の毛の中に入って病気を起こす頭部白癬の治療をするためには、病気の毛が毛穴から抜け出て2〜3センチ伸びるのを待つ必要があります。
一方、爪は皮膚の一部が爪郭に変形し、その中の爪母からつくられています。馬や牛の爪はひずめで、足底全体を覆っています。犬や猫は、こうじょう爪で普段は指と指との間に隠し、獲物を捕まえたりするときに出して引っかけます。爪は動物たちにとって、唯一の大切な道具なのです。平爪である人間の爪も、もちろん重要な働きを担っています。手の爪は細かいものをつかんだりするときに指先を補助しますし、指先の微妙な触覚を助けてもいます。一方、足の爪は、直立したり歩行したりするときに、足指の先端を上から押さえ、微妙な力の配分をしているのです。
手の爪の伸び方はというと、一ヵ月に三ミリ、足の爪は1ミリです。したがって新しい爪に入れ替わるのに手の爪は半年、足の爪は1〜1年半かかります。このことを考えると、爪の水虫である爪白柳を完全に克服するためには、手の爪では半年、足の爪では一年間かかるのです。

病変部位によって呼び名が異なる水虫の実態

長い間、真菌、つまりカビは下等な植物群と考えられてきました。しかし最近では、約一〇万種もの菌が発見され、動物界や植物界に匹敵する一大生物群として取り扱われるようになり、独立して菌界と呼ばれています。
このうち、人間に病気を生じさせるカビは約二〇〇種類あり、日常診察において比較的多く見られるのは白狗菌を含め五〇種です。
カビによって引き起こされる皮膚真菌症は、大きく二つに分類されます。皮膚の浅い部分に起こる表在性皮膚真菌症と、深部に発症する深在性皮膚真菌症とです。表在性皮膚真菌症とは、皮膚の最外層にある角質層、毛、爪など、いわゆる、死んだ組織のみに限って菌が寄生するもので、水虫はこれにあたります。ただ、一言で「水虫」といっても、白癬菌が感染した部位によってその病名は変わってきます。そこで、白癬菌が棲みつきやすい場所と正式な病名とを簡単に紹介しましょう。
まず、患者数の最も多いのが、足にできる水虫「足白癬」です。このうち足の指と指の間にできるものを「趾間びらん型」、土踏まずや足の縁にできるものを「小水泡型」、足の裏全体、もしくはかかとにできるものを「角質増殖型」と大きく三つに分類されています。水虫が慢性化すると、菌が爪にも侵入し、「爪白癬」を生じます。また、足にできた水虫が手にうつったとき、これを「手白癬」と呼びます。手足にできる水虫は、菌が寄生する角質が厚いため、治療に時間がかかるのが特徴です。
一方、白癬菌が頭部に寄生することも多々あります。これは「頭部白癬」と呼ばれ、被髪頭部に現れる円状で細かい鱗屑と脱毛が主症状です。頭部白癬は炎症が見受けられない「頭部浅在性白癬」と、炎症の強い肉芽腫様の病変をつくる「ケルスス禿瘡」とにわけられます。頭部白癬は戦後、一時減少しましたが、近年のぺットブームにともない、猫や大から水虫をうつされ、発症するケースが著しく増えています。また、男性のヒゲの部分にケルスス禿疸に似た水虫ができることがあり、これを「白癬性毛唐」と呼んでいます。ケルスス禿唐、白癬性毛唐の外観は深在性白癬に似ているものの、菌は毛内にのみ存在し、真皮内では増殖していないので、「いわゆる深在性白癬」と呼ばれたりもしています。
うぶ毛がはえる部位に生じる白柳は、「生毛部白俯」といいます。これには、青年男子の陰股部に好発する「股部白柳(インキンタムシ)」と、陰股部以外の部位に環状の湿疹を生じる「体部白癬(タムシ)」とがあります。

水虫の主な感染経路

人から人へ感染するケースが最も多い
体のさまざまな部位に寄生する白癬菌は、他人に伝染する力もあります。たとえば、箱の中にカビのはえたミカンがたった一つあるだけで、他のミカンがどんどんカビにおかされていくように、家族に万人水虫罹患者がいると、場合によっては家族全員が感染してしまうかもしれません。
人から人へと感染経路を広げていく白癬菌で、主要な菌はトリコフィトン・ルブルム、トリコフィトン・メンタグロフィテスなどというもので、これをヒト好性菌といいます。水虫患者の実に九〇%以上がヒト好性菌の感染によるものであり、それだけ人のことを好む菌なのです。逆にいえば、人のケラチンしか栄養源にできないということです。したがって、人が媒体となって白癬菌をまき散らすことになるのです。
といっても、白癬菌には、インフルエンザや風邪のウイルスほどの強い感染力があるわけではないので、感染者と同じ空気を吸っているだけでうつることはまずありません。
「水虫の人と手をつないだり、足の裏をくっつけてしまったら、それだけで感染してしまうのではないか」
と心配される方も少なくありませんが、このような直接感染もほとんどないと考えていいでしょう。むしろ注意しなければならないのは、白癬菌が何かを介してうつるケースです。
皮膚の最外層である角質層に棲みついている白癬菌は、アカとなって皮膚が体外に落ちるとき、一緒にくっついていきます。
ただ、いったん外へ追いやられたからといってすぐに死ぬことはなく、アカが干からびるまでは、半年から一年の間、生き続けているのです。白癬菌の感染経路として主要なのは、この体外へ落ちたアカが媒体になるケースです。
何人かの水虫患者の家庭を調査したところ、すべての家のいたるところで白癬菌が検出されました。その中で、白癬菌が最も多くみつかったのは、バスルームの足ふきマットやスリッパ、畳、じゆうたん、寝具などです。これらはすべて温度も湿度も十分にあり、白癬菌が再び人に寄生するチャンスを待ちかまえているには適した環境だといえるでしょう。しかも人が最も接触する頻度の高い場所だけに、たくさんのアカが落ち、白癬菌は苦労せずとも食物を得ることができるのです。
なかでも、バスルームの足ふきマットは要注意です。風呂上がりは、皮膚がやわらかくなり、はがれやすくなっています。それが足ふきマットに落ちれば、次に風呂から出た人の足に貼りついてしまいます。気がつかないまま数日間過ごせば、その人もまた白癬菌に感染してしまうでしょう。
水虫の人が痒くてかきむしった足の裏から角質層が落ち、そこを歩いた人の足の裏に付着してしまうというケースも少なくありません。
また、家の中だけではなく、共同生活の場でも白癬菌は多く存在しています。そのため、素足で歩くプールや浴場に行ったときや、公共施設に備えつけられているスリ。パを履いた後などは、帰宅後、石けんで足を念入りに洗うくらいの用心深さが必要かもしれません。
白癬菌が付着しても、菌が人の角質層内に侵入するまでには、およそ二日から三日はかかります。
こう聞くと、さほどたいした伝染力がないように思えるかもしれませんが、水虫の人が靴下を脱ぐと、多数の白癬菌が空気中に舞い上がるのも事実です。白癬菌が足に付着しているのに気づかず、長時間放置していれば、白癬菌の新たな繁殖地にされてしまう危険性は高いと考えてください。

転んだ傷から感染することもある

本来、カビは植物や動物に寄生、あるいは腐生して生活しています。
物を腐らせて自分が栄養素を吸い取るとともに、そこから抽出された残りの栄養源を土壌に還元するという重要な働きをしています。いいかえれば、まさに「自然界のお掃除屋さん」ともいえる役目を担っているのです。
このカビの中には、土壌に棲みつきながら、動物の毛や爪などのケラチンを好むものがいます。それが白癬菌の中でも最も種類が多い、土壌好性菌と呼ばれるタイプです。
土壌好性菌は、動物が住んでいるそばの上の中に多く生息しています。たとえば、犬小屋や動物園、牧場などがあげられるでしょう。こういった場所に白癬菌が集中しているのは、動物から抜け落ちた毛が土壌に混じり、その毛のケラチンを栄養源に白癬菌が繁殖を繰り返しているからです。
数年前、鼻の右下方に紅い斑点をつくって来院した三歳の女の子がいました。自宅の庭で転び、その傷が治ったにもかかわらず、斑点だけが残り、環状に拡大してきたとのことでした。調べると、病巣部から白癬菌が検出されました。そこで、庭の土壌調査をしたところ、この家庭で飼っていた犬の小屋付近の土から同じ種類の白癬菌が発見されたのです。
水虫が棲んでいる土の上を素足で歩いたからといって、水虫になるわけではありません。
ただし、本人が気づかないような小さな傷口から水虫が人間の皮膚に浸入してくるケースはよくあるのです。
ときどき、子どものちょっとしたすり傷や切り傷が、じくじくしてなかなか治らないことがあるでしょう。通常、軽症の場合なら、一週間から二週間で傷口がふさがるものです。それがいつまでもよくならないようならば、カビのような特殊な菌が傷口に寄生していることが少なくないため、早めに医師に診せることが大切です。

あなたのかわいいペットが、あなたを水虫にする

一方、猫や犬など勣物の毛に寄生して生活しているのが、ミクロスポルム・カニス
(M1crospoum can1s)などの動物好性菌です。
この菌群は、土壌好性菌の一部が進化して、動物の毛の中で生活するようになったと考えられています。つまり、動物の毛が食物として一番好きな菌といえるでしょう。
ペットブームの到来とともに、ペットから水虫をうつされるケースもまた増加の一途をたどっています。菌に感染していることに気づかず、抜け落ちた毛の掃除を怠ったり、室内で体をすり寄せるように生活していたことが主な原因です。
ミクロスポルム・カニスに感染すると、比較的短期間のうちに、痒みをともなったタムシ状の環状の紅い斑点が、多数発生します。ただ、感染初期は小さな紅いプツプツなので、湿疹と間違って診断されることも数多くあるようです。
誤った診断のもとに、外用ステロイド剤などを塗っていると、かえって発疹が拡大してしまうことも少なくありません。表面にカサカサとした鱗屑がみられる場合は、なぜ湿疹ができてしまっているのか原因がわからないにしても、診察の際にペットを飼っていることを医師に伝えたほうが懸命でしょう。ミクロスポルム・カニスは、もともと日本
には存在しない白癬菌でした。分離頻度が高まったのは、外国からペット動物が輸入されるようになった一九六〇年代からです。ただ、当初は海外から連れてこられた血統書つきの動物の飼い主に、感染者が限られていました。それが、現在のように国内外産にかかわらず、多くのペット動物が感染源になったのは、動物輸入時やペットショップで動物どうしが直接的または間接的に接触する機会が増えたからだと考えられます。
一方で、それまで家族同様に過ごしてきたペットに白癬菌をうつされたことがわかると、無責任に捨ててしまう飼い主も少なくありません。
すると、捨てられたペットは野良猫、野良犬と接触する機会が増えます。高級なペット特有の感染菌だったミクロスポルム・カニスは、こうして感染経路を広げていったのです。
もし、あなたの痒みの原因がペットにあるのだとしたら、自分だけではなく、家族もそして感染源であるペットも一緒に治療を続けることが肝心です。ペットの病気が治らない限り、飼い主が再び罹患する確率は非常に高いのです。
同時に、ミクロスポルム・カニスを保菌しているからといって捨ててしまっては、社会に水虫をまき散らすようなものです。水虫は治療次第で必ず治る病気であることを認識し、飼い主の責任としてペットとともにこの病気を克服することを考えましょう。
以上が水虫の主な感染経路です。
もともと上の中で動物の落とした毛や爪を食べて暮らしてきた土壌好性菌のうち、動物の毛を生活場所にする一部の変わり者が現れました。これが動物の毛を主食とする動物好性菌です。
動物に寄生している間は、それほど強い炎症症状は現れませんが、人に感染すると痒み、発赤など強い炎症を引き起こします。そして、この菌群の中の一部が人の皮膚を主食とするようになりました。これがヒト好性菌です。皮膚症状はさほど強くはありませんが、発症すると完治するのに時間がかかるという特徴があります。
このように水虫は、土壌好性菌から動物好性菌へ、そしてヒト好性菌へと進化を遂げてきました。これは何億年という長い時間を経て進化した、人類の歴史と歩みをそろえてきた結果でもあるのです。

人間の生活環境の変化と水虫の深い関係

夏ごとに再発を繰り返していれば、いずれ慢性化する
暑い夏が終わり、だんだんと過ごしやすくなっていくとともに、水虫の痒みが徐々に緩和されていく。冬になったころにはすっかり水虫のことなど忘れ、快適な生活を取り戻したと思っていたはずが、気温の上昇とともに、再び足がじくじくし始める……。これは水虫患者の大半が経験することです。
夏が来るたびに再発を繰り返すのは、水虫の好む環境と季節の変化とに関係があるためです。
地球上のほとんどのカビがそうであるように、水虫も高温多湿な環境を好みます。一方、乾燥や寒さに弱いという性質もあります。冬になると、痒みが治まるのは、菌が環境に対応できずに活動を停止するからです。
といっても、白癬菌がこれで死滅するわけではありません。皮膚の角質内部に潜んで、多くの場合、ここで繁殖しやすい条件が再び整うのを待っているだけです。いわば水虫が「冬眠期」に入ったと考えていただければわかりやすいでしょう。
気温が下がってくると、症状が軽減されるため、「治ったんだ」と治療をやめてしまう人が多いのですが、完全に菌を死滅させない限り、毎年再発を繰り返します。水虫に寄生された期間が長くなればなるほど、症状は年を追うごとに悪化し、慢性化していきます。それだけ白癬菌は抵抗力が強いカビであり、治療に時間がかかるのです。
最近では、冬でも水虫になる人が多い
以前は、夏が近づくとともに新規の水虫患者が増え、冬は夏場にかかった水虫の治療のために通ってくる患者さんが少しいる程度でした。ところが最近では、冬でも「突然、足が猛烈に痒くなりだした」と慌てて来院してくる人が目立っています。
私たち人間は、文明の発達とともに、便利で、住みやすい生活環境を手に入れました。室内では温度・湿度とも一定に保つことができ、外気の寒暖を問わず、一年中、快適に過ごすことができます。
ところが、この快適な環境が、冬でも水虫の繁殖をうながす結果にもつながっているのです。暖房のきいた部屋にいて、激しい輝みに襲われた人は少なくはないでしょう。こたつに当たっていて、症状がぶり返してしまったと来院してくる患者さんもいます。人間が過ごしやすい環境は、同時に水虫にとっても恰好の繁殖地になるのです。

急増する女性の水虫罹患率

水虫というと、かつては男性特有の皮膚病だという印象がありました。「水虫」イコール「不潔」というイメージから、男性に結びついたのかもしれません。ところが近年、女性の患者数が増え続け、今では患者の男女比に差がなくなりつつあります。原因は、やはり生活環境の変化です。
女性の社会進出が一般的になるにつれて、女性のライフスタイルも転換を遂げてきました。
家を出てから帰宅するまで、ハイヒールやナイロンストッキングを覗き続けている人も多いでしょうが、ハイヒールは足の裏の皮膚にかける負担が大きいため、皮膚がすりむけたり、角質層の角化が進みやすく、しかも蒸れやすいので、水虫の生息に絶好の環境を提供しているといえます。また、最近では機能的に優れたストッキン
グも発売されているようですが、それでもやはり通気性は十分ではないようです。通勤時はハイヒールとストッキングを履いても、仕事中はサンダルで過ごすようにする。これだけでも水虫を予防することができます。
一方、背部に紅く湿疹状のプツプツができてしまった人もいます。単なる湿疹と間違えやすい症状ですが、赤みを帯びた部分と異常のない部分に境界線があるようならば、股部白癬(インキンタムシ)を疑ってみる必要があります。内股にできる股部白癬もまた、以前は男性の病気とされていましたが、通気性の悪いナイロン性の下着の普及とともに、女性にも発病するようになっています。
「水虫は不潔にしているからできる」と勘違いしている人は、依然として多いものです。
しかし、文明社会の中で生きる私たちにとって、水虫は決して特別な人がなる病気ではなく、誰でもかかる可能性がある病気だと再認識することが必要でしょう。ただ、女性の中には、やはり水虫を恥ずかしいといって隠したがる人が少なくないのです。

水虫はもはや大人だけの病気ではない

二〇年ほど前から、子どもの水虫も目立つようになってきました。子どもの感染は、七割からハ割が家族からの感染で、とくに父親からうつるケースが目立ちます。
また、やはり生活習慣の変化も水虫と子どもとの距離を縮めてしまっています。昔なら素足や草履で遊んでいた子どもたちが、今では、安全性や見栄えを重視して靴を履く習慣が定着したためです。
小学校へ入学すると、靴と靴下を履く生活が日常になります。学年があがるにつれて、運動量が激しくなり、またスポーツクラブに所属する子どもも増えます。靴の中が蒸れて、高温多湿の状態が続けば大人同様、子どもも感染する危険性は高まるのです。
また、プールなどの足ふきマットや、スポーツクラブで共同使用するラケットやシューズなどから感染するケースもあります。公共施設や医療施設、合宿生活を通じて白癬菌をうつされることも考えられます。
今や、子どもにも大人と同様に、水虫に感染する条件は十分に整っているのです。

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